長友と細貝がクラブから放出候補に上がる”戦術的な”理由
欧州サッカーリーグの新しいシーズンに向けて、クラブがそろそろバカンスから始動するタイミングになり、日本人選手にも移籍の噂がいろいろ出ている状況になっています。
武藤や奥川のように新しく欧州移籍したり、岡崎のプレミアリーグ行きのように心躍るステップアップのニュースがある一方、当然ながら選手が増えてくると放出の噂も多く出て来ます。
その中で個人的に可能性が高いと思っているのが長友と細貝。昨シーズンはともに怪我のためにあまりチームに貢献できなかったという点もありますが、それよりも問題になってそうなのが監督が指向する戦術と彼らの能力が噛み合ってない事です。
まずインテルですが、マンチーニ監督がメイン戦術にして来るであろうフォーメーションは、最近イタリアで流行している4-3-1-2の中盤ダイアモンド型でしょう。この戦術の場合、SBは基本的に1人でサイドを守らねばならず、しかもボールサイドに居る場合は、中盤の3の位置まで上がってゾーン・ディフェンスに加わる必要があります。これは、高さに難があってハイボールが止められない長友にとっては厳しい条件です。
これが4-4-2や3-5-2であれば、SHやインサイドハーフが長友の上がりをカバーできますが、4-3-1-2の中盤3枚は出来ればスライドはさせたくないし、トップ下とFWも高い位置に留めておきたいので、SBはバランスを取りつつタイミング良く上がれる内田のような戦術眼が求められます。これも、常時上がりっぱなしの長友とは方向性が正反対です。
今日になって、長友にはガラタサライへの移籍話が出て来ていますが、チャンピオンズリーグに出られますし、親友のスナイデルもいるし(笑)、プレイスタイル的にはプレミアリーグより長友には合っているような気がしますけどね。
そしてヘルタ。ここは原口がSHとして特訓を受けているように、ダルダイ監督はブンデスリーガにしては珍しく正統派のゾーン・ディフェンスを駆使してくる監督です。そして細貝の場合は、基本的に選手に食いついてナンボの選手であり、ゾーン・ディフェンスとは極めて相性が悪いプレイスタイルです。
しかもまだサイドであれば少々人に食いついても許される部分はありますが、ボランチは戦術の要であり、ゾーン・ディフェンスの組織から一歩でも離れて勝手な食いつきをやってしまうと、チーム戦術全体に穴を開けてしまう事になります。おそらく、欧州でこの仕事を満足に出来る日本選手は現状おらず、長谷部でさえ厳しいと思っています。
昨シーズンの長谷部は、確かにフランクフルトでアンカーとして大活躍はしてましたが、シャーフ監督がかなり中盤の守備戦術に対してルーズであり、組織としてよりも長谷部個人の戦術眼で何とかこなしていた面が大きいと思っています。
今期からフランクフルトにはフェー監督が就任しましたが、彼は決して戦術家ではないので、ゾーン・ディフェンスの構築を選手に丸投げしている可能性があります。そうなると長谷部は逆の意味で厳しくなってしまうわけで、案の定フェー監督はSBでの起用を示唆する状況になっています。
もちろん、ともにクラブに残留して試合に起用される道がベストだとは思いますが、明らかに戦術に合わないと監督が判断している場合は残っても無駄にベンチでの月日を過ごすだけになってしまうでしょう。他のスポーツに比べてとりわけ短い選手寿命のサッカー選手、どうせなら必要とされる場所で思いっきり持てる力を出して欲しいものです。
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2015/07/24 | コラム・書評
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