微生物:世界最深…青森沖海底下2.5キロの地層で確認

毎日新聞 2015年07月24日 03時00分(最終更新 07月24日 07時42分)

地球深部探査船「ちきゅう」=海洋研究開発機構提供
地球深部探査船「ちきゅう」=海洋研究開発機構提供
海底下約2キロの石炭層から採取した試料から培養した微生物の群れの電子顕微鏡写真。右下の白い目盛りが1マイクロメートル=海洋研究開発機構提供
海底下約2キロの石炭層から採取した試料から培養した微生物の群れの電子顕微鏡写真。右下の白い目盛りが1マイクロメートル=海洋研究開発機構提供

 青森県沖の海底下約2.5キロの地層からバクテリアの群れを発見し、その培養に成功したと、海洋研究開発機構などが参加する国際チームが24日の米科学誌サイエンスに発表した。海底下で生物を確認できた場所としては世界最深で、生命を維持できる限界に近い環境とみられるという。

 ◇海洋研究開発機構など発表

 チームは2012年、地球深部探査船「ちきゅう」で同県八戸沖約80キロ、水深1180メートルの海底を2466メートルの深さまで掘削。地層を調べたところ、堆積(たいせき)物1立方センチ当たり100個以下のごく微量の微生物の細胞が確認できた。海底下2キロ付近の石炭層では、特に多い1万個程度の細胞があった。

 この層の微生物を遺伝子分析した結果、地上の森林土壌に生息する種類に近いバクテリアが多く見つかった。かつての森や湿地が日本列島の形成に伴って埋没し、地下深部でもわずかな水と栄養分を頼りに生きられる微生物だけが残ったと考えられるという。チームは地上での培養にも成功した。

 微生物の中には石炭からメタンを生成するバクテリアもあり、稲垣史生・同機構上席研究員は「太古の森林土壌に由来する海底下の微生物生態系が、今でも天然ガスなどの生成に重要な役割を果たしているとみられる」と話す。【大場あい】

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