市川美亜子、伊木緑
2015年6月23日03時40分
集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案を審議する衆院特別委の参考人質疑に22日、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏と宮崎礼壹氏が登場し、現長官が認める憲法解釈を「黒を白に変えるような主張」と批判した。国会での新旧の「法の番人」の発言を法制局に詳しい識者たちはどう見たのか。
「『黒衣(くろご)』に徹するのが美学の内閣法制局で、元長官が参考人に出てくるなんて、前代未聞。それだけ法治国家の『存立危機事態』だということでしょう」
15年以上、法制局を研究する明治大の西川伸一教授(53)は驚きを隠さない。現役時代は淡々と「金太郎あめのようにぶれない」答弁に徹し、退いたら多くを語らないはずなのに――。
「黙っていられないとの思いでしょう。2人は『政府』という言葉でオブラートに包んでいたが、言葉が後輩の横畠裕介長官に向けられているのは確かだ」
存立危機事態を巡って「私なりに善意に解釈すると」「論理的にまったく整合しないというものでもないと思います」と持って回った表現を使った阪田氏については「後輩の苦しい立場もおもんぱかりつつ、納得していないぞという態度を示していた」。宮崎氏については「できないものはできないと分かりやすかった」と評価した。
「法制局は法の番人であると同時に政府の法律顧問でもある。OBが野党と一緒に戦っているのを見ると隔世の感がある」と話す。
残り:468文字/本文:1056文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!