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最先端AI「ディープ・ニューラルネット」をロボットに搭載する動きが始まる

2015年05月28日(木) 小林 雅一
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DARPA Robotics Challenge 2015より 〔PHOTO〕gettyimages

次世代ロボットに「ディープ・ニューラルネット(DNN)」を搭載する動きが始まった。DNNは脳科学の研究成果を取り入れた最先端のAI(人工知能)で、これを搭載したロボットは人間のように器用で素早い動きができるようになる。このため工場や倉庫、流通など様々な職場で、人間に代わって(あるいは人間と共に)働くロボットの登場が一層現実味を帯びてきた。

"New Approach Trains Robots to Match Human Dexterity and Speed" The New York Times, MAY 21, 2015

最大の問題は動きの鈍さ

現在、日米欧をはじめ世界各国で、これまでの産業用ロボットとは異なる次世代ロボットの研究開発が進んでいる。それらの多くは「サービス・ロボット」と総称され、その名の通り、掃除や洗濯、皿洗いなどの家事、あるいは工場や倉庫、運輸をはじめ様々な仕事の現場で、多彩な作業(各種サービス)に従事するロボットだ。この中には、私たち人間のような姿形をした、いわゆる「ヒューマノイド(ヒト型ロボット)」も含まれる。

研究・開発段階における最大の問題(課題)は、ロボットの動きの鈍さだ。それは、見ている私たち人間の方が呆れるほどノロノロとしており、動作も不正確だ。たとえば現在、米国防総省傘下の研究機関「DARPA」が進めている、「DARPA Robotics Challenge(DRC)」を見てみよう。これは原発の事故現場など危険な環境下で働く、次世代ロボットの開発コンテストだ。

一昨年の末に開催された、DRCの予選競技会には日本の「SCHAFT(現在はグーグル傘下)」をはじめ、世界各国の企業や大学などが開発した最新鋭のロボットが出場。これらロボットたちは事故現場を想定した各種競技に参加して、その技を競った。

しかし、ロボットたちの動きは極めて鈍く、中には競技の途中で止まったまま動かなくなるものも少なくなかった。予選競技会を首位で通過したSCHAFTのヒューマノイドでさえ、僅か10段足らずの梯子を上りきるまで10分近くを要したほどだから、残りのロボットたちは推して知るべしだ。

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