~氷の上に直接落とすアイスコーヒー~
アイスコーヒーは、殆ど日本だけの文化です。
諸外国はアメリカを筆頭に、段々とその文化を受け入れてきました。
どの国にもアイスコーヒーはあることはあるのですが
滅多にお目に掛かれる代物ではないようです。
特に欧州は、coffeeを薄めること自体を嫌います。
その為、アイスコーヒーの文化は日本独特の文化なのです。
長くアイスコーヒーを支えてきた喫茶文化で
この「やぐら」と呼ばれる支柱を使い、ネルで抽出していました。
ですが、一晩寝かせたり長時間経ってしまうものが多いため
coffeeが酸化してしまう原因になっていました。
そこでcoffeeを薄めることはご法度に近かったのですが
急冷式が段々と普及してくるようになったのです。
多少は薄まりますが、酸化した時の独特の酸っぱさやエグ味
そして、アルコール臭のような匂いまで軽減できるようになったのです。
リキッドタイプになっているアイスコーヒーのように
防腐処理は一切していません。
そのために「新鮮な」と呼ばれるアイスコーヒーになったのでしょう。
今回は家庭である程度まで出来るアイスコーヒーです。
器具自体、それほど変わったものも使いませんので
ご家庭にある器具で容易に淹れることができます。
また、普通のハンドドリップと殆ど遜色がありません。
ですから、ご家庭で味わうアイスコーヒーとしては
水出しコーヒーの次に簡単と言えます。
器具の説明と豆の挽き方
今回は、職場(笑)で淹れてみます。
サーバーとドリップポットとミルはお借りしました。
・カリタ ナイスカットミル(手動式のミルでも構いません)
・ドリッパー KONO名門ドリッパー MDN21(new dripper)
・サーバー kalita ウェーブシリーズ 500サーバーG
・ユキワ M-5 コーヒーポット 細口タイプ 750cc
・電子スケール サイフォン用竹ベラ カメラのレンズ用シュポシュポ
※竹ベラは抽出後にコーヒー液を撹拌するためです。
サイフォン用の竹ベラが無い場合は、マドラーで代用して下さい。
挽き方(メッシュ)は、なるべく細く挽いて下さい。
これもお好みになりますが、細かい方が濃く抽出できます。
急冷式なので、氷が融けたり少し薄まる事を想定しましょう。
ちょっと拡大されてますが、メッシュはこういう感じです。
豆はコロンビアとグァテマラのブレンドです。
今回は2杯分落としますので、28gを使用します。
毎回一緒ですが、撮影用なので少し増やしています。
で、今回はコロンビアがフルシティでグァテマラがシティです。
その場合、チャフ(シルバースキン)が多くなるので
カメラのレンズ用シュポシュポでチャフを少し飛ばしました。
これ、あると便利なのです。
一度もカメラに使用したことはないんですけどね(笑)
アイスコーヒーを抽出します
ドリップする時に、サーバーに沢山の氷を入れてから抽出して下さい。
氷の量に関しては、なるべく多い方が〝急冷〟できます。
温く落として、グラスの中で冷やしても同じことになります。
ピンボケしてしまうので、角度を変えました。
このくらいまで点滴抽出していると、氷に最初のコーヒー液が落ちます。
こういう感じですね。
垂れて落ちる間に冷えて行く…急冷と言いますが、殆ど普通のドリップです。
ただ、粉の挽きが細かいので濃く淹れることが重要です。
丁度、落ちて行く瞬間です。
灰汁が良い感じで浮いているので、苦味が軽減できます。
今までは、苦いことを「スッキリ」と言っていましたが
急冷式で飲むアイスコーヒーは苦味よりも透明感が強いです。
〝フレッシュ〟なcoffeeだと思います。
このように氷も融け始め、350ml近くになってきたので終了しましょう。
コーヒードームの上に、もう一つのドームがありましたが
それがヘタれてくる頃が終わりの目安だと思って下さい。
粉は量が少なければ、それほどお湯を吸収してしまうので
吸収した後は殆ど濃いコーヒー液は出なくなります。
はい、できました(笑)
抽出を終えて
急冷式は、従来の濃いアイスコーヒーよりも苦味が少なくなってます。
また、少し薄い印象を持たれる方も多くいらっしゃいます。
その分飲み易く、コーヒーフレッシュやミルクを入れずとも楽しめます。
普通のドリップコーヒーと違う点は、豆を挽く時に細かいこと。
抽出速度は少し遅めになる(粉が細かいのでペーパーの目が詰まります)
ネルに近い淹れ方をすることで、まろやかで苦味が軽減できることです。
ゆっくり丁寧に淹れると、更にカップクオリティが上がります。
こっちは、エチオピア モカ・イルガチェフG1を淹れました。
元々の焙煎がハイローストなので、かなり明るい感じです。
アイスティーに見えますね。
こちらは湯温95℃で淹れた香り強めな急冷式です。
エチオピアモカ特有の柑橘系の香りを損ないたくないので
敢えてお湯の温度を高めにして、レモンティーのような一杯です。
これはSpecialty coffeeなのでブレンドしていません。
ただ、コクや深みがないために万人受けするアイスコーヒーじゃないです。
一部のマニアの方のみ、たまに淹れるcoffeeです。
基本、うちの師匠はハイローストから何でも急冷式のアイスコーヒーにします。
アイスコーヒー用の油テカテカの豆は酸化しやすいので嫌うんですね。
楽しかったcoffeeブログ(笑)
僕と師匠の夢は、一般にcoffee技術を普及させること。
師匠はカフェのオーナーよりも、豆屋として生きて行く方が職人らしくいられると。
その豆をいつかお客様に届ける際に、coffeeの淹れ方が得意じゃなかったら
折角のコーヒー豆もお客様も残念な気持ちになってしまいます。
ですから、本来なら珈琲教室で教えるようなことでも
皆さんに知って頂けたら?と思ってブログにしていました。
全体を通して、一端だけでもお伝えできたんじゃないかと思います。
本来は動画を撮影してアップすれば面倒じゃないんですが
まだまだ技術的にそこまで行ってない僕でした。
コーヒー豆を売る仕事なのに、その淹れ方を教えないのはお客様に失礼。
こんな考えのもとで僕は働いています。
決して意識が高いのではなく、これは商いの鉄則だと思うのです。
いつか、皆さんのブログでcoffeeを淹れる姿を見たいものです。
その時に、ちょっとだけヒントになってくれると幸いです。
あ、休憩時間も終わりそうなので
長々書いてしまいましたが一旦CMへ・・・