ふるさと納税:過熱する自治体間の狂騒 今後の課題は?
毎日新聞 2015年04月06日 08時12分
出身地や応援したい地方自治体に寄付できる「ふるさと納税(のうぜい)」制度が1日から拡充(かくじゅう)されました。安倍政権は「地方創生(ちほうそうせい)」を掲げており、がんばる自治体を税制面(ぜいせいめん)で応援するためです。ただ、寄付の見返りに高額な商品でお礼をする自治体が出るなど、競争は過熱気味(かねつぎみ)です。納税者に共感が広がる制度に育てることが課題(かだい)です。
◆4月から制度が変わったの?
◇寄付上限増え、手続き簡単に
なるほドリ ふるさと納税ってどんな制度なの?
記者 生まれ故郷や応援したい都道府県、市区町村に寄付できる制度です。寄付が2000円を超えると、その人が国や居住地の自治体に納める所得税(しょとくぜい)と個人住民税(こじんじゅうみんぜい)の税額が控除(こうじょ)されます。控除の上限額(じょうげんがく)は個人住民税の約1割でしたが、4月から約2割に増えました。
例えば年収(ねんしゅう)550万円の夫婦と高校生の子ども1人の世帯の場合、寄付の上限額は3万円から6万円に増えました。また控除を受けるには税務署(ぜいむしょ)で確定申告(かくていしんこく)が必要でしたが、4月以降は年間5自治体までの寄付ならば、原則として確定申告が必要なくなりました。
Q そもそもなんのための制度なの。
A ふるさと納税は、第1次安倍政権で「税制を通じてふるさとへ貢献」することを目的に検討され、08年度に導入されました。14年度の寄付総額は142億円で、初年度(73億円)から倍増(ばいぞう)しました。
ふるさと納税は寄付で、自治体がお礼をすることも可能です。お礼の品物(返礼品(へんれいひん))に特産物を贈れば、地場産業のてこ入れにもつながります。
Q 返礼品にはどんなものがあるの?
A 鳥取県は特産の松葉ガニや岩ガキの他、14年度から鳥取砂丘でのパラグライダー体験や梨狩りなどを加え、156品を用意しています。長野県では日本酒やコメ、熊本県ではデコポンや馬刺しが人気です。
◆特色ある返礼品が増えているの?
◇自治体が工夫、一部で高額品も
Q 特色のある返礼品もあるらしいね。