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時間最大雨量 30年余で13%増
11月13日 6時04分

時間最大雨量 30年余で13%増
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全国各地で1時間当たりに降る最大の雨量が過去30年余りで13%増え、雨の降り方が強くなっていることが気象庁の分析で分かりました。
気温や海水温の上昇による水蒸気の増加が要因の1つとみられ、専門家は今後、温暖化が進めば、さらに災害が多発するおそれがあると指摘しています。

気象庁の気象研究所は、全国980か所余りでそれぞれ観測された年間で最も多い1時間雨量を去年までの35年分さかのぼって分析しました。
その結果、1時間の最大雨量は全体として、この35年間におよそ13%増加していることが分かりました。
1時間の雨量は雨の降り方の強さを示す指標となります。
年間の最大雨量は、気温や海水温の高い年に特に多くなる傾向が見られ、全国の平均気温が平年より0.3度高かった去年は、1時間の最大雨量が35年間の平均をおよそ16%上回っていました。
また、気象庁によりますと、全国の観測点1000か所で観測された▽1時間に80ミリ以上の猛烈な雨の回数は去年までの5年平均で1年当たりおよそ19回と、30年余り前の1.5倍となり、(1980年までの5年平均で年12回)▽1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨の回数も去年までの5年平均で1年当たりおよそ246回と、およそ1.3倍に増えています。
(1980年までの5年平均で年183回)気象研究所環境・応用気象研究部の藤部文昭部長は「長期的に見て日本付近の気温は上昇し、水蒸気も増えているため、強い雨が降りやすくなっている。地球温暖化が進めば、今後、さらに雨が強まって災害が多発するおそれがある」と指摘しています。

夏以降の大雨の死者90人超

気象庁によりますと、ことしは7月以降、平年を上回る4つの台風が上陸したほか、繰り返し大気の状態が不安定になり、各地で大雨が相次ぎました。
7月9日には、長野県南木曽町で局地的に1時間に90ミリを超える猛烈な雨が降って土石流が発生し、1人が死亡しました。
また、8月20日には広島市内で1時間に100ミリ余り、3時間で200ミリを超える豪雨となり、大規模な土砂災害によって74人が死亡しました。
さらに9月以降も近畿や関東、北海道などの各地で1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が降って土砂災害や浸水などの被害が相次いでいます。
NHKのまとめでは7月から先月までの4か月間に雨による災害で死亡した人は、全国で少なくとも93人に上っています。
気象庁は7月末以降の一連の大雨災害を「平成26年8月豪雨」と名付けたほか、専門家で作る気象庁の検討会も8月は「異常気象」だったと発表し、「地球温暖化の影響による水蒸気の増加が雨の要因の1つ」という見解をまとめています。
ことしは、広島市の土砂災害のように、短い時間に集中的に雨が降って災害が起きるケースが多く、6月から先月までの5か月間に全国の49か所で統計を取り始めてから最も多い1時間の雨量が観測されています。

今世紀後半の豪雨2~6倍に

気象庁気象研究所などの研究グループが、今世紀後半、世界の平均気温が現在より2.2度上昇した場合の気候への影響を予測したところ、世界の水蒸気量はおよそ13%、降水量はおよそ6%増加するということです。
このうち日本付近では、気温が平均で2.3度上がって、水蒸気量はおよそ16%増加し、一度に降る雨が多くなって雨が強まることが予想されています。
また、京都大学防災研究所の中北英一教授は、今世紀後半の日本付近の気温上昇が3度程度になるという将来予測に基づき、6月から8月にかけての時期に「3時間で150ミリ以上の雨」といった短時間の大雨がどれくらいの頻度で発生するか分析しました。
それによりますと、大雨の頻度はほぼ全国的に増加し、▽豪雨災害が比較的少ない東北では今の「25年に1度」程度から「4年に1度」程度と6倍に増加するほか、▽関東甲信では今の5.3倍、▽近畿では3.2倍、▽東海でも2.1倍に増えるという結果となりました。
中北教授は「現在でも豪雨の多い西日本だけでなく、あまり豪雨がなかった地域でも強い雨が降りやすくなり、これまでになかったような災害が起きるおそれがある」と指摘しています。

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