介護職員による高齢者虐待の件数は全国1220件2248人、データを取らない一般病院の実態は不透明…「被害受けても居場所がなくなることを恐れ表面化しにくい」
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高齢者介護施設や精神科病院では、国が利用者や患者に対する虐待件数を集計し、調査・分析している。一方、その他の病院では統計を取っておらず、全国的な被害実態は不透明だ。
介護施設や訪問介護での職員による虐待は、高齢者虐待防止法で職員に通報義務があり、国や自治体は立ち入り検査や指導を行う。2024年度の全国の虐待件数は、過去最多の1220件。被害者は2248人だった。精神科病院での虐待は、22年改正の精神保健福祉法で、虐待に気付いた人に通報義務がある。初めて集計された24年度の虐待は、全国で260件だった。
一方で、厚生労働省によると、精神科を除いた病院での虐待は、医療法に基づき自治体が検査や指導は行えるが、病院側に通報義務はなく、虐待件数の統計もない。
優心会厚生病院は40床で、内科とリハビリテーション科がある。内部資料によると、事件当時、人員に余裕がなかったという。米村滋人・東京大教授(医事法)は「人手不足の医療機関ではスタッフに余裕がなくなり、暴力を振るったり、ネグレクトが起きたりするリスクがある。国や自治体は精神科以外の病院でも虐待の有無を調査し、背景を分析すべきだ」と述べた。
日本高齢者虐待防止学会理事長の池田直樹弁護士(77)は「入院患者は被害を受けても居場所がなくなることを恐れて打ち明けづらく、虐待が表面化しにくい。事件は氷山の一角ではないか。看護師長などの管理職が、虐待行為や、患者にけがをさせかねない『ヒヤリ・ハット』情報を集約して共有し、病院側は自らで虐待の早期発見に取り組むべきだ」と語った。