コメ輸出2位ベトナムと3位タイ、ジャポニカ米で日本進出へ…バンコクのスーパーには「タイ産ササニシキ」も
完了しました
コメ輸出量で世界トップ3に入るベトナムとタイが、日本への輸出拡大に期待を寄せている。両国では日本食ブームを背景に、日本産と同じ短粒種のジャポニカ米の生産が広がりを見せており、日本のコメ価格高騰を商機にしたい考えだ。(バンコク 井戸田崇志、写真も)
タイの大手スーパー「トップス」の首都バンコクにある店舗では、タイ産のジャポニカ米が5キロ・グラム275バーツ(約1200円)で販売されている。日本の店頭価格よりも大幅に安く、別の日系スーパーでもタイ産ササニシキなどが同程度の価格帯で並ぶ。
タイは1年を通じて気候が温暖で、稲作が盛んだ。長粒種のインディカ米(タイ米)の栽培が主流だが、近年はジャポニカ米に参入する農家も目立つ。
1年前からコシヒカリを栽培している農家のブガー・ウォンシーチャーさん(44)は「ジャポニカ米はタイ米の2倍も高く売ることができ、利幅が大きい」と話す。北東部ウドンタニの水田では年3回の収穫が可能という。
2024年のタイの日本へのコメ輸出額は、10年前の1・3倍の1億8300万ドル(約265億円)に増加。現在は輸出の大半がインディカ米で、ジャポニカ米はタイ国内向けの生産が多いとされる。タイ政府は「高単価で販売できる市場を開拓し、輸出を拡大したい」(ピチャイ商務相)として、日本のコメ輸入を巡る動向を注視している。
米農務省が5月に発表した統計によると、24年度の世界のコメ輸出量は6140万トン。インドが首位の4割を占め、ベトナム(13%)、タイ(11%)と続いた。
「ハイエンド市場に参入する好機」
ベトナム米産業協会は5日、ジャポニカ米の新ブランド「グリーンベトナムライス」500トンを日本に初出荷した。生産過程で排出される温室効果ガスの削減を売りにする。消費者の環境意識が高く、品質基準が厳しい日本での販売を念頭に栽培された。
協会のブイ・バ・ボン会長は「日本のコメ不足は、ベトナム産米がハイエンド市場に参入する好機だ」と語り、継続的な供給を目指す。
日本がコメを輸入する場合、ミニマムアクセスと呼ばれる無関税枠を超える分には1キロあたり341円の関税がかかる。だが、関税分を上乗せしても日本産米より割安になるとして、商社などが輸入を増やしている。味や栽培技術が日本産と似ている台湾産米の日本への輸出量は1~5月に7759トンとなり、前年同期から6倍以上に増えた。
今後、東南アジアからの輸入も増える可能性がある。ただ、日本産米との価格差が大きくなれば国内農家に打撃を与えかねず、議論を呼びそうだ。