半透明の袋に「燃やせるごみ」「プラほうそう」でOK、買いだめでごみ袋不足の自治体…ナフサ不安が生活直撃
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長期化する中東危機のあおりを受け、原油由来のナフサ(粗製ガソリン)を使った製品を中心に供給不安が広がっている。ごみ袋の買いだめが起きており、一部の自治体は、指定のごみ袋以外でも使用できるようにルールを変更するなど日常生活への影響が出てきている。
フリマアプリで3倍の価格
神戸市は、6月中の臨時措置として、市指定以外の透明か半透明のごみ袋を使用可能とした。
市によると、5月25~27日に「指定ごみ袋が売っていない」などの相談が60件寄せられた。業者は例年以上の量を製造しているのに、一部の店舗で在庫が足らなくなっていた。
こうした動きは各地でみられる。兵庫県西宮市や大阪府豊中市も6~7月に指定外ごみ袋の使用を認め、福井県越前市も5月25日から、透明か、半透明の袋に「燃やせるごみ」「プラほうそう」と手書きで示すよう推奨している。
不足している主な要因は、消費者の買いだめだ。豊中市家庭ごみ事業課の担当者は「小売業者などへ調査した結果、不安になって必要以上に買い置きしている人がいることがわかった」と説明する。神戸市や西宮市も、買いだめが起きているとみている。
高松市は、市指定のごみ袋のうち超特小サイズの在庫がなくなり、5月末にスーパーなどへの発送を停止した。スーパーの担当者は「買いだめで需要が増えている」と話す。同市の主婦(51)は「この状況がいつまで続くのか」と話した。
環境省がごみ袋を扱うメーカーや商社28社に調査したところ、4月の出荷量は前年の1・1~2倍で、今後も供給が継続できると確認できたという。同省は必要な分だけ購入するなど、冷静な行動を呼びかけている。
ごみ袋は転売の対象になっており、記者が1日午前に確認したところ、フリマアプリでは、指定ごみ袋が多数出品されていた。市場価格の約3倍で取引されているケースもあった。
保冷剤の持参呼びかけ
夏の必需品にも影響が及んでいる。
<しっかりした保冷バッグや保冷ケース、大きめの保冷剤をご用意いただけると幸いです>
京都市北区の洋菓子店「パティスリーミムラ」はケーキなどを購入する来店客に、保冷剤を持参するように協力を呼びかけている。
オーナーの三村彰さん(43)によると、保冷剤のフィルムにナフサが使われており、取引業者から「今後の供給がどうなるかわからない」と聞いたという。焼き菓子を入れる透明な袋の納品も4月末から遅れが生じている。
内閣官房によると、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖の長期化によってサプライチェーン(供給網)が混乱し、取引先との交渉力が弱い中小企業や個人事業者で、ナフサを使った原料の入手が困難な事例が出ている。この影響で店舗で商品が不足したり、値上げが起きたりしているとみられ、国は5月から実態調査を進めている。
三村さんは「物価高で(菓子の)材料も資材も上がっている。早く情勢が落ち着いてほしい」と話した。
京都市中京区のジェラート・菓子店「SUGiTORA」では、プラスチック製の容器に入れて販売しているクッキーを6月から段階的に紙製に置き換える。
店を営む杉田晋一さん(43)は「ラップやゴム手袋も入手しづらくなっている。材料費や人件費も上がり、閉店を選ぶ同業者もいる」と話した。
プラスチックやゴムの「もと」
ナフサは原油から作られる透明な液体だ。日本では、プラスチックやゴム、塗料など、石油化学製品のほとんどがナフサから作られており、様々な製品の「もと」になっている。
石油化学工業協会の資料によると、原油は国内の沿岸部にある石油化学コンビナートに運び込まれ、蒸留によりナフサ、ガソリン、軽油などに分けられる。ナフサを高温で分解すると、エチレンやトルエンなどの「基礎製品」ができ、更に化学反応を加えると、プラスチックや合成ゴムなどの「誘導品」になる。
誘導品は、各種工場で製品の製造に活用される。ペットボトル、スマートフォン、家電、自動車のタイヤや塗料がその一例で、洗剤、化粧品、シャツなどの衣類、医療用の手袋などもナフサから作られている。