参議院選挙、外国人政策への不満投稿相次ぐ…誤情報の拡散も「物語を信じやすい状況」
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参院選で外国人に関する政策が争点の一つとして浮上し、ネット上では外国人への対応を巡る投稿が増加している。ビザや生活保護を巡る誤情報も拡散している。(上万俊弥、増田尚浩)
データ分析会社「ユーザーローカル」のSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で、「外国人」の単語を含む投稿数(リポスト含む)を分析したところ、5月以降、1日約10万~20万件で推移していたが、東京都議選があった6月には連日20万件を超えるようになった。
参院選が公示された7月3日には約40万件、14日には約80万件となった。拡散している投稿の多くは、外国人に関する政策への不満を訴えるものだった。
背景要因として、在留外国人の増加が挙げられる。2024年末の在留外国人は376万8977人と過去最多を記録した。
SNSでは、外国の運転免許証を日本の免許証に切り替える「外国免許切替」制度を利用した外国人が、日本の交通ルールをよく理解せずに運転して事故を起こしたことなどを指摘し、インバウンド(訪日外国人客)も含めた外国人に対し、厳しい対応を求める声が上がっている。
一方、目立つのは誤情報だ。X(旧ツイッター)で6月末、「日本政府は中国人観光客に対する『75歳以上』のビザ申請要件を撤廃した。同行者の同伴や追加の健康診断書が必要だったが、すべて撤廃された」とする投稿が拡散し、1000万回以上表示された。
この投稿をもとに、返信欄には「政府内部に中国の支配が及んでいる」「どれだけ中国にご機嫌取りするのだろう」などと多くのコメントが書き込まれた。
しかし、外務省外国人課への取材では、岩屋外相が昨年12月に訪中した際、65歳以上の中国人のビザについて、在職証明書の提出を不要にする緩和策を表明したのは事実だが、ビザ申請要件は撤廃されていない。そもそも、どの年代に対しても、同行者の同伴や健康診断書提出は求められていない。
「政府が5000万人の中国人移民の受け入れを進めている」とする投稿も出回っているが、同課の担当者は「(そのような政策は)承知していない」とした。政府は在留資格「特定技能」において、昨年4月から5年間で最大82万人の外国人の受け入れを見込んでおり、投稿内容とは大きくかけ離れている。
生活保護を巡っては「外国人に支給するのは憲法違反」との言説が拡散している。しかし、外国人に対する事実上の生活保護を「憲法違反」とする判例はない。
選挙戦中盤に入ると、こうした投稿に対し「排外主義」や「デマだ」とする指摘も急増している。
東京大の内山融教授(政治学)は「差別意識やインバウンドへの反感を背景に、物価高や収入が増えず苦しいのは外国人が優遇されているからだ、という物語を信じやすい状況にあるのではないか。実際に起きている問題について議論を深めることは必要だが、虚偽で差別や排外主義をあおってはならない」と指摘する。
「社会の一員と認めて」
参院選の演説では「日本人に危害を加える外国人が少なくない」などと極端な発言をする候補者もおり、国内で暮らす外国人は心を痛めている。
「頑張って働いてきたのに、外国人はいらないと言われると悲しい」。神奈川県のレストランで責任者を務めるベトナム人のグエン・スアン・ヒエップさん(30)はそうした現状を嘆く。
16年に来日して特定技能(外食業)を取得。2年前に今の会社の社員になった。店で働く社員は全員外国人。日本人アルバイトがミスをしたとき、客に頭を下げるのもヒエップさんの仕事だ。
税金や社会保険料が引かれた後の手取り給与は23万円ほど。一部は母国の母親(65)に送金する。「社会を支える一員と認めてもらいたい」と訴えた。