為替市場介入 中東情勢に乗じた投機許すな
完了しました
政府・日本銀行が、過度な円安に歯止めをかけるため、円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。中東の混迷に乗じた投機的動きには、
外国為替市場で、円相場が約1年9か月ぶりの円安水準となる1ドル=160円台後半まで下落したのは4月30日だ。夜に入ると、155円台半ばまで急騰した。
市場に緊張感を与えるため、介入の有無を即座に公表しない「覆面介入」の措置を取ったようだ。円買い・ドル売りの為替介入は、2024年7月以来となる。
米国が2月28日にイランを攻撃して以降、日本経済は高まる円安圧力に悩まされ続けてきた。
エネルギーの大動脈であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油価格が高騰している。
日本企業は輸入代金を支払うために円を売ってドルを買うことになる。貿易赤字の拡大は円売りをさらに誘発することにもなる。
原油高は燃料費や輸送費だけでなく、食料品や日用品、化学製品など幅広い製品や、サービスの値上げにつながる。
行き過ぎた円安は、輸入物価の上昇に拍車をかけかねない。こうした日本の弱点につけこむような投機は、許されてはならない。
大型連休中は市場の参加者が減り、相場が大きく変動しがちで投機筋に狙われやすい。政府・日銀が為替介入を行ったのは、こうした点も考慮したとみられる。
財務省の三村淳財務官は1日、「大型連休はまだまだ序盤だと認識している」と述べ、さらなる介入を示唆した。市場の動きに対して、警戒を強めてもらいたい。
2022年春から始まった円安局面は長期化しているが、経済界には、1ドル=120~130円程度の水準を求める声が多い。
政府・日銀は、特定の水準を目的とする為替介入は行わない、としているが、実質的には160円が攻防のラインとして意識されているのだろう。
ただし、為替市場の取引規模は大きく、介入は時間的な猶予を得るにすぎない。日本政府は、中東での早期の戦闘終結に向けて外交努力を尽くす必要がある。
根強い円安圧力には、日米の金利差が大きいことも背景にある。日銀は為替にも目配りし、金融政策を運営することが大切だ。
高市政権が「責任ある積極財政」を掲げながら、財政健全化の道筋を明確に示していないことも円売りを招いている。財政の信認を得る努力も怠ってはならない。