全身やけどで作業員死亡の工場爆発、タンク洗浄中「キシレン」に静電気で引火か…静電気防止の作業服・手袋着用も
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東京の化学メーカー「OATアグリオ」鳴門工場(徳島県鳴門市)で爆発が起き、男性作業員2人が死傷した事故で、農薬が製造されていたタンク内で揮発した液体の化学物質「キシレン」が静電気で発火して爆発した可能性が高いことが、消防関係者への取材でわかった。静電気による爆発事故は起こりやすく、総務省消防庁は安全対策の徹底を呼びかけている。(佐藤萌、石井和華)
徳島県警鳴門署の発表では、2024年10月7日午前8時30分頃、同社の鳴門工場(鉄筋2階建て)で爆発が起こって出火。火は約1時間半後に消し止められたが、男性作業員(当時52歳)が全身にやけどを負い、同12月に死亡。助けに向かった別の男性作業員(当時43歳)も軽傷を負った。
鳴門市消防本部の火災調査書などによると、工場内には複数のタンクがあり、爆発は農薬が作られていたタンク(高さ約3・3メートル、直径約1・8メートル)内を洗浄する作業中に起きた。
工場では、キシレンをタンク内を洗浄する際に使用。死亡した男性作業員がタンク上部にある開閉部からホースでキシレンをタンク内にまいた際、揮発したキシレンに引火して爆発したとみられている。
同本部は原因を特定できなかったが、ほかに発火源はなく、現場の状況から静電気と推定されると結論づけた。死亡した男性は事故当時、静電気防止の作業服や手袋を着用していたが、完全に防止できなかった可能性があるという。
取材に対し、同社は「原因については結論が出ていない」としたうえで「マニュアルに従った各種点検を適切に実施してきたが、職場環境の安全衛生について、より一層の注意を払っていく」としている。
危険物施設、対策徹底を
総務省消防庁の統計では、2024年に全国の危険物施設で発生した火災事故は267件。このうち着火原因が「静電気火花」だったのは61件で、ガソリンスタンドでの事案が多かった。17年12月には静岡県富士市の化学品メーカーで静電気による粉じん爆発が起こり、2人死亡、13人が重軽傷を負った事故があった。
同庁危険物保安室は「静電気は自然現象で起こりやすい。危険物を扱う各事業者には安全対策を徹底してほしい」としている。