脳死心臓移植、「余命1か月」最優先の新基準を初適用…東大病院で40代女性に1例目の手術
完了しました
脳死者から提供された心臓の移植で、余命1か月と予測される患者を最優先にする新基準が初めて適用されたことが関係者への取材でわかった。東京大病院で12日、補助人工心臓が使えない40歳代の女性に1例目の手術が行われた。女性は術後、「(血行が良くなり)体が熱く、心臓の鼓動を強く感じる」と語り、臓器提供者に感謝したという。
心臓移植を受ける患者の選定は従来、待機期間の長い患者が候補の上位にくる基準で運用されていた。重症で移植を長く待てない患者は初めから諦めるケースもあり、日本循環器学会などの要望を受けて、厚生労働省が基準の見直しを決めた。
新基準では、移植実施施設が移植対象患者のうち2割を上限に、亡くなるリスクが高い60歳未満の人を同学会に届け出る。学会の部会が毎月、届けられた患者から優先候補を数人選び、最終的に血液型や体格などから患者が決められる。
執刀した小野稔東大教授らによると、今回、新基準の下で心臓移植を受けた女性は心筋症の一種を患い、治療法は強心薬しかなかった。不整脈などで突然死する恐れがあり、数年前から移植を待っていたが、半年前に病状が急激に悪化した。基準変更がなければ移植を受けるのは厳しかった。
小野教授は「緊急度の高い患者の命を救う仕組みが動き出した意義は大きい」と話している。
日本臓器移植ネットワーク(JOT)によると、2025年末時点で心臓移植の待機患者は798人だったが、同年の移植件数は117件にとどまっている。