皇位継承の安定 女性・女系を排除せず論じよ
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皇室を将来にわたって存続させることは、多くの国民の願いだろう。与野党は、そのための現実的な具体策を丁寧に論じ合わねばならない。
皇位継承の安定策を検討している与野党協議が、1年ぶりに再開された。
30年ほど前に26人いた皇室の方々は、今は16人に減っている。このうち皇位継承権を持つ男系男子は3人しかおらず、天皇陛下の次の世代は、秋篠宮さま(60)の長男の悠仁さま(19)だけだ。
現行の皇室典範の下では、悠仁さまが結婚し、仮に男子が生まれなければ皇統が途絶えてしまう。早急に手を打つ必要がある。
与野党協議で論点となっているのは、2021年に政府の有識者会議が提示した2案だ。
一つは、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持するというものである。もう一方は、戦後に皇籍を離れた旧11宮家の男系男子を皇族の養子に迎えるといった案だ。
与野党協議では、自民党と日本維新の会、国民民主党などが養子を迎える案を支持した。養子縁組後に生まれた男子に皇位継承権を付与することを想定している。
他方、立憲民主党は養子案に慎重で、女性皇族を結婚後も皇室にとどめ、その夫と子も皇族とする案を主張した。中道改革連合は明確な意見を示さなかった。
自民党は、皇位が男系で継承されてきた歴史を重視している。だが、皇統の危機に際して最も重要なことは皇統の存続である。
皇室の方々が親しまれているのは、被災地の訪問などを通じて国民に寄り添ってきたからだ。
80年間も民間人として生活してきた旧宮家の人を唐突に皇族に復帰させ、その後生まれた男子を天皇と想定することに、国民の理解が得られるのか。
男系男子に固執するあまり、皇室が国民の思いからかけ離れてしまっては本末転倒だ。天皇の地位は「国民の総意に基づく」と定める憲法の趣旨を忘れてはならない。国会では、できるだけ多くの党の合意を得る必要がある。
そもそも有識者会議の報告書は、当時の岸田政権の意向に配慮し、女性・女系天皇を想定していない。しかし、憲法は皇位を「世襲」と規定しているだけだ。政府も長年、女性・女系天皇は憲法上許容されると解釈してきた。
各党は報告書の2案にとらわれてはならない。今の継承順位は変えないことを前提に、将来の女性・女系天皇も排除せず、皇統の存続を最優先に検討すべきだ。