ライブチケット転売繰り返した女性「他の人もやっているから」…和解に数百万円、定価より安値転売など利益出ず
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人気アイドルのライブやスポーツ観戦のチケットの高額転売が問題となるなか、転売を繰り返していた女性が取材に応じ、軽い気持ちで始めた末に多額の「解決金」の支払いを余儀なくされた経験を語った。インターネット上のチケット仲介サイトが不正転売の温床となっている構図も浮かぶ。(中村俊平)
定価の10倍
取材に応じたのは、昨年春まで3年間、男性人気アイドルのライブのチケット転売を繰り返していたという東京都内の20歳代女性。中学生の頃から「ジャニーズ事務所」(当時)のグループの熱烈なファンで、全国のライブ会場に足を運んだ。
ところが4年ほど前、グループの人気が高まり、「どうしても行きたい」と思ったライブのチケットが購入できなかった。その際、ネットでチケットが出品されている仲介サイトを見つけた。定価より高値だったもののチケットを入手でき、これを機にサイトを利用するようになった。
当初は買う側だったが、風邪をひいてライブに行けなくなった時に「自分が買ったみたいに売ってみよう」とチケットを出品すると、高値で売れた。以後、「チケット流通センター」など二つの仲介サイトで計約90枚を転売。定価約1万円のチケットが10倍の高値で売れたこともあり、差益は次のライブのチケット購入費に充てた。
ライブ見たさに
チケット転売を巡っては、転売目的での買い占めによって正規ルートでの入手ができなくなることが問題となり、2019年にチケット不正転売禁止法が施行された。同法は、主催者の同意なく、定価より高値で継続的にチケットを転売することを禁じている。
女性は「法律は知らなかったが、だめなことかもしれないと薄々思っていた」という。ただ、サイトに多数のチケットが出品されているのを見て、「他の人もやっているから大丈夫だろうと軽い気持ちで出品を続けてしまった」と明かす。
昨年春、ライブを主催する「ヤング・コミュニケーション」(東京)から、法的責任の追及を検討することが記載されたメールを受け取った。事の深刻さに気づき、弁護士に相談。主催者側に数百万円の解決金を支払うことで和解した。解決金は預貯金を取り崩して払った。
結局、転売したチケットが定価より安値でしか売れないこともあり、「全体でみれば利益は出ていない」という。女性は「大好きなグループのライブに行きたいがゆえに転売をしてしまい、反省している。グループにも迷惑をかけて申し訳ない」とうなだれた。
法的措置
ヤング社は、旧ジャニーズ事務所所属タレントの受け入れ先となった「STARTO ENTERTAINMENT」のライブを主催するイベント興行会社。転売の「場」となっている仲介サイトに着目し、今年3月、「チケット流通センター」の運営会社に対し、転売で得た手数料の返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。
STARTO社は「仲介サイトは不正転売で利益を得ており、是正しなければ健全な興行環境を維持できない」としている。読売新聞は運営会社に取材を申し込んだが、7日までに回答はなかった。
個人にも厳しい対応をとる。取材に応じた女性は解決金を支払って和解に至ったものの、ヤング社は同月、ネットなどで転売を繰り返したとして、東京都内の男性に約2300万円の賠償を求める訴訟も起こした。
トラブル後絶たず…悪質事例 刑事事件に
チケット不正転売禁止法の施行後も転売トラブルは続発しており、国民生活センターによると、2020年度に322件だった転売に関するトラブルの相談件数は、22年度に1690件に増え、25年度も794件あった。
悪質なケースは刑事事件に発展している。警察庁によると、昨年1年間に同法違反容疑で検挙されたのは、20年より9人多い16人。昨年には、日本開催の米大リーグ開幕戦のチケットを定価の10~20倍程度の高値で転売した会社社長らが逮捕される事件もあった。