東大病院の汚職事件、第三者委「危機意識や自浄作用が著しく不足」と指摘…報告書を公表
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東京大学医学部付属病院を巡る汚職事件を受け、東大の対応を検証してきた第三者委員会は3日、報告書を公表した。不適切な事案を把握しながら半年以上にわたり内部調査を停止したり、懲戒処分に長い時間を要したりするなど、「危機意識や自浄作用が著しく不足している」と指摘。再発防止には、第三者による継続監視や懲戒制度の改革が必要だと提言した。
付属病院を巡っては今年1月、皮膚科長だった佐藤伸一・大学院医学系研究科教授(当時)が、共同研究の相手だった一般社団法人「日本化粧品協会」から、高級飲食店や性風俗店などで高額接待を受けたとして逮捕され、その後起訴された。佐藤教授は同月26日に懲戒解雇されている。
第三者委は主に、東大が同協会代表からの通報で問題を把握した2024年9月から教授の懲戒処分に至るまでの対応を調査した。報告書によると、東大は通報を受けて内部調査を開始したが、同年11月に警察から聴取などは控えるよう要請されたことを理由に、半年以上にわたり調査を停止。事案が報道された後の25年6月になって外部弁護士による調査を再開した。
記者会見した第三者委委員長の山口利昭弁護士は「警察の捜査が続いていても東大としてできる調査はあった。硬直的な対応で問題がある」と厳しく批判した。
また、対応が遅れた背景には、「自らの研究領域さえ脅かされなければ、他者の倫理違反に対しても口を出さない」といった相互不干渉の文化があると言及。当時の学内会議では、性風俗店での接待について「目的は性感染症の調査のためと聞いている」「(通報者にも)問題があった」など、教授をかばうような発言があり、異議を唱えた教員もいなかったという。
東大のガバナンス(組織統治)改革には、再発防止策の
大学運営に詳しい青山学院大の八田進二名誉教授は「東大では懲戒委員会など重要な会議ですら議事録を作っていなかった。今回の不祥事は医学部や付属病院だけでなく、東大の内部統制が問われる問題。抜本的な組織改革が必要だ」と分析した。東大は8日に藤井輝夫学長が記者会見し、ガバナンス改革について説明する方針だ。