不登校の生徒が通う市立中学が誕生…授業を200時間以上減らして「総合的な学習」に力、教職員の配置手厚く
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新年度、兵庫県尼崎市に「学びの多様化学校」として、不登校の生徒が通う市立中学校が誕生した。「学校に通いたい」という意思のある子どもたちの受け皿として、授業時間の削減など特色とゆとりのある学びを目指す。個々の生徒に寄り添った支援から得られるノウハウを、市全体に広げるフラッグシップ(旗艦)校の役割も担う。(竹村文之)
成績評価を自校で行う「完結型」
開校したのは市立尼崎
尼崎市内では2024年度、不登校の小中学生が全体の4.70%いた。例年、全国平均より1ポイントほど高く推移しており、市は、福祉的な側面に加え、標準性を重視する中学校の学習についていけなくなる子どもが多いとみて、画一的ではない多様な教育課程が必要と判断した。
琴葉中は、成績評価まで自校で行う「完結型」となるのが特徴だ。地域の学校に籍を置いたまま、市内3か所にある教育支援室や民間のフリースクールに通うケースとは異なる。
年間の授業時数は770時間を想定。午前9時半登校で始業を遅らせ、下校も早めにするなどし、標準的な学校の年間1015時間より余裕を持たせる。
そのうえで「総合的な学習」の時間を拡充するほか、異学年の授業も受けられるようにするなど個々の課題に寄り添う教育メニューを提供する。各教科13人、養護2人と教職員も手厚く配置し、基礎学力のフォローや体調面でも支援を充実させる。
中2階に「隠れ家」
平屋(約500平方メートル)の校舎は木目調で温かさを演出し、教室間の仕切りを可動式にして多様な空間をつくれるよう工夫した。「安心安全な居場所」を意識し、ラグを敷いてクッションを置いたスペースや、「隠れ家」をイメージした中2階もあり、教室に入れない場合に廊下から授業に参加できる窓も設けている。
通学エリアは市内全域。今春は応募した53人から面談などを経て1~3年の計36人を迎え、今月21日に開校式を行う。
松本真市長は「最終的に不登校が減ることが重要だ。義務教育の課題を乗り越える大きなチャレンジになる」と強調。石井郁樹校長は「教職員や生徒が一緒になって優しい雰囲気の学校にしていければ」と話す。