病院の「敷地内薬局」出店見送る動き、撤退も…厚労省が診療報酬半減・特例も廃止で
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利便性高く、薬局・医療機関にも利点はあるものの
医療機関の敷地内にある「敷地内薬局」の新規出店を見送る動きが始まっている。高い利便性から600店超まで増えたが、一部の薬局は既存店の撤退も視野に入れる。厚生労働省が、薬局の収入の柱である診療報酬を半減させたほか、高い報酬が払われる特例も廃止したためだ。
医師の処方を適切にチェックするため、厚労省は医療機関と薬局の立地や経営の分離を求めてきた。一方で高齢患者らの移動の負担を軽減するため、政府は2016年に敷地内薬局の立地を認めた。
日本薬剤師会によると、敷地内薬局は25年5月時点で613店舗に上る。薬局は敷地内の医療機関から患者を集めやすく、医療機関は賃料で安定的に収入を得られるなど、双方に利点がある。神奈川県の病院の敷地内薬局を利用した車いすの女性(64)は「ほぼ移動せずに薬を受け取れるので助かる」と言う。
通常の薬局の診療報酬は患者1人あたり190~450円。敷地内薬局は利益率が高いとの報告もあり診療報酬は通常より低い。厚労省は19年度の同110円から段階的に引き下げ、24年度は同50円となった。
また、同じ建物内に複数の診療所がある薬局などには特例で通常の診療報酬を認めてきた。ただ、一部の薬局がこの仕組みを利用して診療所を誘致していると問題視する声が有識者会議で上がり、厚労省は特例の廃止を決めた。
国の一連の対応に複数の薬局チェーンが新規出店の見送りを決めた。ある薬局チェーン幹部は「利益を出すのが難しい」と既存店の撤退も視野に入れる。
厚労省は、複数の医療機関で処方される薬をまとめて管理し、飲み合わせのチェックや健康作りの助言をするかかりつけ薬局の仕組みを進めている。薬局の制度に詳しい益山光一・東京薬科大教授は「自宅近くにかかりつけの薬局を作り、利用する方が患者にはメリットが大きい」と話す。