映画「栄光のバックホーム」 福山でロケ 監督ら舞台あいさつ 阪神・横田さん不屈の歩み
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2023年に28歳で亡くなった元プロ野球・阪神タイガースの横田慎太郎さんの生涯を描く映画「栄光のバックホーム」が、全国で公開中だ。メインロケ地となった福山市では、主演の松谷鷹也さん(32)と秋山純監督(62)が舞台あいさつに登場し、ロケの秘話や作品への思いを語った。(林佳代子)
横田さんは鹿児島県出身で、鹿児島実業高校から13年のドラフト2位で阪神に入団。しかし、脳腫瘍を患い、19年に引退した。最後の試合となったウエスタン・リーグのソフトバンク戦では中堅の守備につき、病気で視力が衰えた中、ノーバウンドの本塁返球で走者をアウトにし、このプレーが「奇跡のバックホーム」と呼ばれた。
映画は、横田さんの自伝エッセーと、母まなみさんの視点でつづったノンフィクションが原作。横田さんの野球人生を振り返りつつ、闘病生活や家族との絆を描いた。横田さん役を松谷さん、まなみさん役を鈴木京香さんが務め、昨年11月に公開された。
秋山監督によると、映画は24年3月頃と8月頃に分けて撮影。バックホームのシーンは岡山県倉敷市の球場でロケをしたが、全カットの9割は福山市で撮ったという。
高校時代の試合シーンはエブリイ福山市民球場、阪神での寮生活はJFEスチールの施設、療養の場面は市内の病院などで撮影。海辺のシーンは内海町の風景で、盈進高校の生徒をはじめ、多くの市民もエキストラで参加した。
松谷さんは秋山監督の下で俳優兼制作スタッフの経験を積み、高校球児の経歴を買われて主演に抜てき。野球を離れて約10年のブランクを埋めようと、撮影前から8か月ほど福山に住み、社会人野球チーム「福山ローズファイターズ」の一員として練習した。体重を20キロ増やし、バックホームの撮影後は逆に15キロ減量して闘病シーンに臨んだ。
今月1日に福山シネマモードであった舞台あいさつで、松谷さんは「ローズファイターズの選手たちが、肉体改造用に食事を作ってくれたことがうれしかった」と思い出を語った。日本アカデミー賞新人俳優賞の受賞を祝うメッセージが届くなど、今も交流が続いているという。
秋山監督は「海も山も都会も田舎もそろう福山は、ロケ地として非常に魅力的な場所」と絶賛。「映画を通じ、地元の魅力を再確認してほしい」とPRした。
秋山監督と松谷さんは映画化にあたり、ホスピスに横田さんを訪ね、作品の構想や役作りについて語り合ったという。舞台あいさつ後、松谷さんは横田さんから譲り受けたグラブを手に、「どんなに過酷な状況でもまっすぐに努力を続けた横田さんの生き方を見てもらいたい」と話した。