詐欺被害金を取り戻すために凍結された銀行口座への強制執行は無効…福岡地裁、東京地裁判決に続き
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詐欺事件の被害金を取り戻すために凍結された銀行口座に対し、裁判所に虚偽の内容の書面を発行させ不当な強制執行をかけたとして、被害者側が東京都渋谷区のコンサルティング会社を提訴した訴訟で、福岡地裁は13日、強制執行を認めないとする判決を言い渡した。溝渕章展裁判官は、強制執行の根拠となった口座名義人に対する金銭貸し付けについて、「裏付ける証拠がない」と判断した。
判決や訴訟記録によると、被害者は架空の投資話を持ちかけられ、2024年1月から2月にかけて1億2400万円をだまし取られる詐欺被害に遭った。被害者が振り込んだ口座から資金が移転されたベトナム人名義の口座は、その後、振り込め詐欺救済法に基づき凍結された。
同社は23年3月の契約で福岡市内を住所とするこのベトナム人に対して1000万円を貸し付けていたとして、口座の差し押さえが可能となる「支払い督促」の書面を福岡簡裁から取得。同書面をもとに口座の差し押さえを福岡地裁に申し立て、24年7月に差し押さえる強制執行を命じる決定が出たことを受け、同社は1000万円を差し押さえた。
訴訟では同社側は「(第三者から)債権は譲り受けたものだ」と主張していたが、この日の判決は「裏付ける証拠はなく、不自然だ」と退けた。また、福岡市の住所にこのベトナム人が居住していたとの住民基本台帳上の記録がないことなども踏まえ、口座を差し押さえる強制執行を無効と結論づけた。
被害者側の代理人を務める荒井哲朗弁護士は「同種被害の防止につながる意義のある判決だ」と述べた。同社の代表は「コメントすることはない」とした。
同じ被害者が、同社のほか、同社と代表と社名が同一の品川区の会社を訴えた別の同種訴訟は、東京地裁が3月、強制執行を認めないとする判決を言い渡し、確定している。