テヘラン日本人学校の卒業式、一時帰国中の都内で開催…4度閉鎖「戦争やめて帰れるようにして」
完了しました
イラン情勢の悪化に伴い、児童・生徒と教員の全員が一時帰国を余儀なくされていた首都テヘランの日本人学校の「卒業式」が15日、東京都内で開かれた。2月末に始まった米国とイスラエルによる軍事作戦の影響で避難生活が長期化する中、子どもたちは友人との再会に表情を明るくした。(広瀬航太郎)
「今、イランでは戦争が起きていますが、今の出来事が人生の全てではありません。みんなが活躍する舞台は少し先にあります。それぞれできることを精いっぱいして、置かれた場所で花を咲かせてください」
都内の会議室を借りて開かれた卒業式で、式を企画した西田隆之校長(61)が語りかけた。卒業する小学6年の男子児童2人は真剣な表情でうなずき、計約60人の在校生や教員らの中には涙を拭う人もいた。
学校は1968年設立。小中一貫で駐在員の子どもら7人が学び、6人の教員は文部科学省から派遣されている。反政府デモの拡大で日本の外務省がイラン全土の危険情報を「渡航中止勧告」(レベル3)に引き上げたことを受け、今年1月中旬、校舎の一時的な閉鎖を決めた。
テヘランで生まれ育った卒業生の男児(12)は帰国後、母親の実家がある埼玉県の小学校に編入した。米イスラエルによる軍事作戦も始まり、テヘランに戻れる見通しは立っていない。「卒業式はできないと思っていたので、本当にうれしい。一日も早く戦争をやめて、帰れるようにしてほしい」と語った。
2024年以降の約2年間で、学校は4度の閉鎖を強いられた。3度目となった昨年6月のイランとイスラエルの「12日間戦争」では、約半年間にわたってオンライン授業でしのぎ、同12月に校舎での授業を再開したばかりだった。
だからこそ、文科省の指示で4度目の閉鎖が決まったとき、西田校長はやるせない思いだった。
子どもたちを前に閉鎖を伝えたときのことが忘れられない。「デモが激しくなっているから、先生たちは日本に帰らないといけない。本当に申し訳ない」。車座になった子どもたちはうつむきがちに聞いていた。
1月の一時帰国後、オンラインで授業が再開された。しかし、小学生は全員が帰国先の各地の学校に編入することになり、オンラインで顔を合わせる機会もなくなった。
さらに、米イスラエルの軍事作戦が始まる数日前、文科省は4月からの休校を西田校長に通知。任期途中の教員は他国の日本人学校に移り、西田校長は地元の兵庫県の教育施設で働くことになった。
退避直前、西田校長が住んでいたアパートのそばでもデモ隊が気勢を上げ、身の危険を感じた。今はイラン国内の情報はほとんど入らず、学校が無事かどうかもわからない。
「子どもたちは、本当によく頑張った」。西田校長はそう語り、「戦争が子どもたちの当たり前の生活を奪うことは許されない」と訴えた。