[展望2026] 子どもの幸せ最優先…社会部生活課デスク 鈴木隆弘
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幼い姉妹が主人公の「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズは、松谷みよ子さんが自身の家庭をモデルに、児童書ではタブーとされた離婚を扱う作品で知られる。終盤では父親を亡くす姉妹を描く。
パパと別れて暮らすことを「おねえちゃんだから」と我慢していたモモちゃんは、その死に際して思いがあふれて3日間泣いた。「どうしてうちにはパパがいないの?」と悲しみ続けたアカネちゃんの涙は、かれ果てた。離別後も姉妹が父親に寄せる変わらない思いを表している。
松谷さんは1967年に離婚した。自伝によれば、当時では珍しく、離婚後も子どもを元夫に会わせ、父子で旅行もさせた。それが父子関係を保ち、作品に投影された。
一昨年、親が離婚した未成年は16万人を超える。元配偶者に会わせたことのない母親は45%、父親は31%という調査があり、離婚による親子の断絶は今も少なくない。
離婚後に父母の双方が親権を持つ「共同親権」を選択できる改正民法が4月に施行される。別れても養育の責務を担わせるためであり、別居中から「親子交流」を協議することも盛り込まれた。
くらし家庭面では連載「離婚と子ども」に第5部まで取り組んだ。当事者の話からは考えの違い、対立、DV(配偶者からの暴力)といった課題が浮かぶ。共同親権で被害が続く懸念があり、すでに離婚、別居した親が共同親権を求めて争う可能性もある。
やむを得ない離婚はあるだろう。しかし、いかなる状況になっても、最優先すべきは子どもの幸せである。
ひとり親家庭の貧困率は44%と高く、物価高が追い打ちをかける。ひとり親家庭に食べ物を送るNPO「おてらおやつクラブ」(奈良県)には昨年、供給を大幅に超える申し込みがあり、抽選になった。3人を育てる母親は、養育費を払ってもらえないといい、「トイレットペーパーは使う長さを決めている」という声を寄せた。困窮する子どもを増やしてはならない。
家庭を保つため、父親の子育て支援NPO「ファザーリング・ジャパン関西」(兵庫県)の活動が手がかりになる。先月、神戸市で父子向けに絵本の読み聞かせ会を行い、父親同士が育児についても語り合った。こうしたイベントを年百数十回開いている。
理事の
改正民法では、親権は「子の利益のために行使」すべきと明記された。子どもの笑顔を守るため、施行後の行方をしっかり見定めたい。
社会部生活課 衣食住や子育て、介護、働き方など生活全般を扱う。読者の投稿を紹介する気流面も担当する。