安易に闇バイト、夢中に 地裁判決 「組織的、計画的で悪質」 特殊詐欺指示懲役12年
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特殊詐欺の指示役として高齢女性ら3人から現金をだまし取った特殊詐欺事件で、詐欺罪などに問われた東京都の無職神原勇介被告(27)に対し、岐阜地裁は3日、懲役12年、罰金250万円、追徴金約2100万円(求刑・懲役16年、罰金300万円、追徴金約2100万円)を言い渡した。高額報酬目当てに犯罪に手を染めた神原被告を、平手一男裁判長は「高齢者の財産を根こそぎだまし取って手に入れようと組織的、計画的に行った悪質な犯行」と非難した。(林昂汰)
判決によると、神原被告は2023年1月~24年1月、氏名不詳者らと共謀し、うそを言って養老町の女性ら3人から現金計約6100万円をだまし取り、大阪市内に隠匿するなどした。また22~23年には覚醒剤を約300グラム密売し約2100万円を売り上げた。
神原被告は予備校に通わなくなった後、アルバイトをしていた。しかし、勤務は続かず、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠陥・多動性障害(ADHD)を抱え、友人ができてもトラブルで一人になることが多く、公判では「仲間や友だちという存在に強いあこがれがあった」と述べた。
親から月30万~50万円の仕送りを受けても、衝動的な買い物などから資金が足りないと感じていた神原被告は、「X」で闇バイトの求人情報を見つけ、特殊詐欺の「かけ子」に応募。出会った犯罪組織の人間から、犯行の様子を「かなりセンスがある」「将来幹部にしようと思う」などと高く評価された。「優しくて、自分をかわいがってくれる。こんな人たちは初めてだ」。神原被告は組織の指示に忠実に従い、犯罪にのめり込んでいった。
会ったこともなく名前も知らない「受け子」に、テレグラムで指示。犯行を重ねる中で、覚醒剤の密売も組織から勧められ、ネット上で売るようになった。多い時は月に100万円を超える報酬を手にした。
受け子が逮捕され不安を覚えたが、信頼を失いたくないという思いや、抜けると身に危険が及ぶという不安から犯行をやめられなかった。24年8月に自身が逮捕されても、組織への忠誠心は残ったままで、だまされたと思い始めたのは昨年末だった。公判では「当時は気づかなかったが、本当にうまいように利用されただけだった」と後悔をにじませた。
判決は、神原被告が犯罪組織が検挙を免れつつ確実に利益を得るため、「受け子」を用意し、管理してきたと指摘。「高額報酬目当てに闇バイトに応募して犯罪組織と関わりを持った。犯罪への関与を指示されると、組織で評価を得、社会的、経済的にも成功者になりたいなどという欲求から、むしろ積極的に役割をこなした」と結論づけた。