『Colabo攻撃』
- 著者
- 仁藤 夢乃 [著、編集]/安田 浩一 [著]/神原 元 [著]/小川 たまか [著]/太田 啓子 [著]/田中 優子 [著]
- 出版社
- 地平社
- ジャンル
- 社会科学/社会
- ISBN
- 9784911256367
- 発売日
- 2026/01/20
- 価格
- 2,200円(税込)
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『Colabo攻撃 暴走するネット社会とミソジニー』仁藤夢乃 編著
[レビュアー] 勝部元気(文筆家・社会事業家)
◆女性敵視 抑止の機能不全
女性支援団体・一般社団法人Colabo(コラボ)が公金を不正受給しているとのデマが拡散し、それがSNSや動画配信等を通じて反復・増幅された。この「コラボ攻撃」の事実と経緯を、同団体代表の仁藤がまとめたのが本書だ。
昨今大きな社会問題と化したインターネット上のデマ・誹謗(ひぼう)中傷問題において最も深刻な事件の一つであると私は考えている。本書に記されている通り、政治家、学者、弁護士、医師、著名人等の社会的地位ある人々までもがその流布に関与した点において他に類を見ない事件だからだ。
デマが浸透した背景にあるのは、ミソジニー(家父長制にとって都合の悪い言動をする女性に制裁を加えたいという感情)であり、関連する一連の裁判でも加害者のミソジニーが認定されている。
マノスフィア(反フェミニズムオンライン・コミュニティー)の拡大、ミソジニーの収益化問題は他国でも大きな社会問題として顕在化している。本件は日本国内における象徴的な事件であるにもかかわらず、深刻な社会問題として継続的かつ多角的に掘り下げる報道は多いとは言えない。
また、本書を読み進めていると、警察の加害者対応も不十分であり、行政も事なかれ主義、ネポティズム、ご都合主義という悪(あ)しき側面が噴出し、結果的に加害者たちに成功体験を与えた印象を受ける。加害者たちは裁判で負けても賠償金を大きく上回る収益を確保しているため、刑事も民事も行政も抑止力が働いていない。日本は法治国家ではなく、「加害放置国家」なのではないかと疑念を抱くほどである。
さらに、コラボを擁護している側でも、コンプライアンスの一線を飛び越える事件まで発生しており、ミソジニーが攻撃する側だけの問題ではないことを物語る。
本書はこのような制度、メディア、社会心理が絡み合う現代日本社会の様々(さまざま)な機能不全を浮かび上がらせる。ネット社会とミソジニーが蔓延(まんえん)するこの社会に身を置く私たちにとって本件は無関係ではなく、重い課題を突きつける。
(地平社・2200円)
著者は安田浩一、神原元、小川たまか、太田啓子、田中優子
◆もう1冊
『バカなフリして生きるのやめた』仁藤夢乃著(新日本出版社)