[WATCH]学生狙う「副業詐欺」注意
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SNSで「スマートフォンで簡単に金を稼げる」などと持ちかけられ、金銭をだまし取られる被害が後を絶たない。専門家などによると「副業詐欺」と呼ばれ、SNSが身近な若年層がターゲットになるケースが多いといい、関係機関が注意を呼びかけている。(東大貴)
■高収入
「感想書くだけで終わる。時給1700円くらいもらえるよ――」。インスタグラムを使った広告事業の勧誘を装って現金をだまし取ったとして、府警は2月、東京都の職業不詳の男(27)ら3人を詐欺容疑などで逮捕した。その後、詐欺罪で起訴された。
起訴状などでは、男らは共謀して2023年7月、高収入を得られる「副業」として男子大学生を広告事業に勧誘。参加費や手数料名目で計91万円をだまし取ったとしている。府警は共犯事件であることを理由に認否を明らかにしていないが、このグループが23年だけで男子大学生ら約160人から計約1億4000万円を詐取していたとみて調べている。
■巧妙な役割分担
府警は、一連の捜査から、このグループに巧妙な役割分担があったことを発表を通じて明らかにした。
まず、「アポインター」と呼ばれるメンバーがインスタグラム上で女性を装って複数の男性に接触し、ダイレクトメッセージ(DM)で「映画やドラマの感想をSNSに投稿するだけ」とアルバイトを紹介。興味を示した被害者に対面での面接を持ちかけると、投稿バイトの話を差し置いて、架空の広告事業に勧誘したという。
面接には、成功体験を語る勧誘役「アフター」が高級ブランドに身を包んで登場し、被害者と同じ「応募者」と称したサクラ役を同席させていたという。お金をだまし取るための契約書を作る人物は「クローザー」と呼ばれていた。
■最初に「成功体験」
消費者庁などによると、こうした手法は「副業詐欺」とも呼ばれている。「SNSで動画のスクリーンショットを送る」「撮影した写真を所定のアプリ内に貼り付けるだけ」などと手軽さをうたうのが特徴だ。
様々な手口があり、最初に少額の報酬を得る「成功体験」で被害者を引き込むと、一転して「違約金が生じた」などと主張し、警察への被害届や民事裁判といった法的手段をちらつかせて金銭の支払いを迫るケースも確認されている。
国民生活センターのまとめでは、こうした被害相談は24年度に3381件寄せられ、4年前の20年度から2・5倍に増加。このうちSNSをきっかけとした被害は2426件と約8倍に増え、全体の7割を占めた。
被害拡大の要因について、成蹊大の高橋暁子客員教授(情報リテラシー)は「若年層にとってSNSは身近な存在だ。タイパ(時間対効果)を求め、スマホで楽に稼ぎたいと考える学生も増えている」と指摘する。物価高で、親から十分な仕送りを得られないことも背景にあるという。高橋客員教授は「『あまりにも楽に稼げる』など、違和感を少しでも感じれば家族や消費者ホットライン(188)に相談を」と話している。
■就活多忙手軽さ引かれ
東京都内の私立大に通う20歳代の男性は昨年から今年にかけて、女子大学生を名乗る人物からインスタグラムを通して「副業」に勧誘されたという。不安を覚えたという男性は、経緯の一端を取材で明かした。
男性は昨年10月頃、見知らぬアカウントに突然フォローされ、「知り合いでしたっけ」とDMを受け取った。女性を想起させるアルファベットの名前で、都内在住の大学生だと説明された。
写真は後ろ姿で顔は見えず、通話に誘ったが「声がコンプレックス」と拒否。DMで2か月ほどやりとりした頃、「在宅で映画を見てレビューを投稿するだけ」と高収入のアルバイトを紹介された。当時は就職活動で忙しく、手軽さに引かれて誘いに応じたという。
すると後日、「担当者」を名乗る男性とみられる人物から電話があった。面接場所に池袋を指定されたが、詳細な場所は「当日伝える」とはぐらかされた。
改めてやり取りを振り返ると「何のバイトをしているの」などバイトに関する質問を何度も繰り返すなど不自然な点があることに気づいた。「複数人と同時並行で会話していたのかも。マニュアルに基づいた詐欺では」と考え直し、面接はキャンセルしたという。
「バイトを紹介するまで、こちらが心を許すのを待っていたようで、巧妙だと感じた。もしも面接を受けていたら今頃、どうなっていただろうか……」と振り返った。