大田区選管の無効票水増し処理、10年前から続いていた疑い…不正処理のノウハウを職員間で引き継ぎ
完了しました
昨夏の参院選で東京都の大田区選挙管理委員会が無効票を水増し処理した問題で、こうした不正が少なくとも10年前から続いていた疑いがあることが、警視庁の捜査で明らかになった。2日、選挙事務を担当していた区職員4人が公職選挙法違反(投票増減)容疑で書類送検され、区幹部らの間に衝撃が走った。
一連の問題では、昨年7月の参院選での開票作業について、〈1〉集計担当だった職員が不在者投票数を二重計上した〈2〉開票担当の職員が投票数と投票者数の誤差に気づきながら、無効票を水増し処理してつじつまを合わせた――ことが判明していた。
警視庁は2日、〈2〉の不正に関与したなどとして、区選管前係長を含む20~50歳代の職員4人を書類送検した。捜査の過程で、少なくとも2016年以降、不正な処理が繰り返されていた疑いが浮上し、裏付けが取れた24年知事選と22年参院選での不正行為についても立件した。
同庁はこれまでに区職員や元職員ら約30人から事情聴取を進めてきた。同様の不正処理のノウハウは長く職員間で引き継がれていたとみられ、書類送検された4人以外にも不正を知っていた職員がいたという。
問題発覚の端緒は、区選管OBで、選挙実務をサポートする会社代表を務める見波祐哉さん(32)が参院選後に投稿したSNSだった。
見波さんは参院選が終わったばかりの昨年7月末、区職員らと慰労会を開催。席上、ある職員から「2600票ほど(投票者と投票の)数が合わなかったので、白票で数を合わせた」といった話を聞いた。見波さんはその場で問題を指摘したが、この職員は事の重大さに気づいていない様子だったという。
事態を重く見た見波さんは、区ホームページなどで公表されている開票結果で、不在者投票数がこれまでの倍以上に増えていることを確認。「大田区さんやらかしてませんか」「白票の水増しやってませんか」とX(旧ツイッター)で投稿し、投稿サイト「note」でも詳細な経緯を記した。
区選管事務局長は開票作業後、職員から大幅な票差があったとの報告を受けながら、他の幹部らに共有しておらず、投稿に気づいた区幹部らが区選管に事実確認をし、ようやく不正が露見した。
見波さんは「水増し処理の引き継ぎなどは聞いたことがない」とした上で、「選管の業務は1人で一つの業務を担っているので、その人しか知らない業務が多いという構造的な問題があったのだろう」と指摘する。
事件を巡っては、第三者委員会が先月25日、再発防止に向けた提言を区選管に答申。区選管の田中一吉委員長が、問題の責任を取って委員全員が今月3日付で辞任する方針を明らかにしている。
区は書類送検された4人について、今後の刑事処分の結果などを踏まえ、処分を検討する。
書類送検を受け、ある区幹部は「票の重さを軽んじていたのかと思うと非常にショックだ。二度とこのようなことが起こらないよう再発防止を徹底して信頼を回復していくしかない」と話した。