宮崎県立美術館に未公開の収蔵品が1000点、「もったいない」との声…デジタル化してウェブ公開始める
完了しました
宮崎県立美術館(宮崎市)には、展示スペースに限りがあるなどの理由で一度も公開されていない作品が収蔵庫に保管されている。その数約1000点。近くにある県総合博物館(同)も同様の課題を抱えており、県教育委員会はデジタル化を通じて収蔵品の公開に力を入れている。(波多江航)
未公開の収蔵品については、昨年12月に県議会一般質問で山口俊樹県議が取り上げたことで、改めて県教委が調査した。山口県議は「アーティストや美術関係者から未公開の作品が大量にあってもったいないと聞いた。もっと活用して魅力や集客力のある美術館、博物館にしてほしい」と質問の意図を語る。
県教委によると、同美術館は4260点(2024年度末時点)の作品を収蔵しており、うち2割超にあたる約1000点は一度も公開されていない。
梅田一明副館長に理由を聞くと、やはりネックは展示スペースだという。常設展示を年4回入れ替えるほか、県巡回展「旅する美術館」なども行うが、1年間で展示できるのは400点ほど。傷みが激しく展示できない作品もあるほか、ページごとに1作品と数える版画集などの冊子状の作品は、観覧者が直接触れてめくるわけにもいかず、展示が難しいという。
そこで展示機会のない作品も含めて収蔵品を見てもらおうとスタートしたのが、文化財をウェブ上で閲覧できるサイト「みやざきデジタルミュージアム」だ。県出身の著名画家、塩月桃甫や瑛九の作品など同美術館の収蔵品のうち1280点(同)を公開している。梅田副館長は、著作権上公開できない一部作品を除き、今後全ての作品を同サイトに収録して公開する方針という。
県総合博物館も悩みは「展示スペース」
県総合博物館も展示スペースに頭を悩ませている。国指定重要有形民俗文化財の「日向の山村生産用具」など約8000点(同)を常設展示しているが、それでも所蔵資料約16万6293点(同)の5%ほどだ。ティラノサウルスの全身骨格や巨大なジオラマなどは簡単に移動させられず、ロビーでの特別展示や館外で行う「どこでも博物館事業」などでの展示も年間400点ほどにとどまる。
美術館と比較して、同博物館の所蔵資料には研究や保存が目的で公開を前提としていない資料が多いというが、それでも可能な限り多くの人の目に触れる機会を作ろうと、所蔵資料のデジタル化に力を入れている点は同じ。「みやざきデジタルミュージアム」には約700点(同)を公開している。
さらに2024年度には「みやはくデジタルコレクション」という新たなサイトも開設した。古文書などが読めるよう、より高精細な画像が見られる仕様で、学術研究の利便性向上が期待できるという。こちらには、25年12月時点で約400件の画像を公開しており、今後さらに拡充していく考えだ。
黒木秀一副館長は「本物の資料を見ていただく努力をしつつ、研究者だけでなく県民の皆様に活用していただけるサイトにしていきたい」と語る。