昔と変わった、自衛隊への「理解」と日本の危機
完了しました
青空をバックに「ブルーインパルス」の編隊が力強くスモークを伸ばしていく。頭上を通過したとき、飛行隊を構成するT4練習機の「クォーン」というジェットエンジンの音が耳に残る。多くの人が空に向けて手を振る中で、国民の自衛隊に対する「理解」について考えた。
直径500メートルの桜
4月10日、新潟県上越市の実家に帰省したときに、5歳の長女を連れて、航空自衛隊の曲技飛行隊・ブルーインパルスの飛行を見に行った。実家のすぐ近くに「日本三大夜桜」の名所として知られる高田城址公園があり、毎春、観桜会が開かれている。ブルーインパルスはそこで飛行を披露したのだ。
当日の気温は27度を超え、桜は一気に花開いた。展示飛行の観覧会場となったのは、公園内にある陸上競技場。スタンドは観客で埋まり、トラック内の芝生にも人があふれていた。午前11時、約300キロ離れた空自松島基地を離陸した6機が姿を見せた。正面から近づいてくると、娘が突然立ち上がり、「うわー。インパルスだ!」と手を振り出した。上空では、直径500メートルの「桜の花」や、ハートマークが描かれ、そのたびに拍手がわき上がった。恐らく彼女の脳裏には、この日の出来事が深く刻み込まれたに違いない。最近病気で元気がない父親も、自宅で空を見上げ、「おお、すごかったな」と話していた。会場には、「自衛官募集中」ののぼりが立ち、ブースで担当者の説明に耳を傾ける市民の姿も見られた。
「戦争に巻き込まれる危険がある」は85%
軍部が暴走した経験から、戦後の日本には防衛力をタブー視する時期があった。「とても制服姿では通勤できなかった」。航空幕僚長の経験者からそんな話を聞いたこともある。自衛隊の草創期の出来事で、当時は「自衛官の子どもだから」という理由で学校への入学が拒まれるケースもあったという。元空幕長は退官後、自宅が放火されるゲリラ事件の被害にも遭った。
だが、こうした時代は遠い昔のことになった。2018年3月に内閣府が公表した「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」では、自衛隊に「良い印象を持っている」と答えた人は、「どちらかといえば」を含めて89.8%に上り、「悪い印象を持っている」(5.6%)を大きく上回った。
この調査ではこんな結果も出ている。「日本が戦争を仕掛けられたり、巻き込まれたりする危険があると思いますか」との質問に、「どちらかといえば」も含めて85.5%の人が「危険がある」と答えたのだ。強引な海洋進出を進める中国や、核開発や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の存在が影響しているのだろう。前回調査(2015年)に比べても10ポイント上昇している。ロシアによるウクライナ侵攻が起きる前の調査だから、現在の危機は反映していない。
調査では、日本が外国から侵略された場合の対応についても尋ねていた。「自衛隊に志願して、自衛官となって戦う」と答えた人が5.9%、「志願はしないが、自衛隊の作戦などを支援する」と答えた人の割合は54.6%で、「一切抵抗しない」は6.6%だった。
1
2