北海道沖のシャチのごちそうは「魚」と「アザラシなど哺乳類」の2タイプ…京大などチーム、漁業被害対策に期待
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北海道沖を回遊するシャチには、魚を餌とするタイプとアザラシなど哺乳類を食べるという二つのタイプがあると、京都大などの研究チームが発表した。生態の解明が進むことで、漁業被害の対策につながると期待される。論文が国際科学誌に掲載された。
シャチは体長5~8メートル。母親を中心とした2~15頭ほどの群れで、餌場を代々受け継いでいるという。南極と北太平洋、北大西洋で外見や餌などによって10のタイプに分類されるが、日本近海にどのタイプのシャチが回遊してくるのかわかっていなかった。
京大野生動物研究センターの大学院生、鈴木百夏さんや三谷曜子教授らのチームは、毎年4~12月頃の決まった時期にやってくる北海道東部の知床沖と釧路沖で調査。生きたシャチの皮膚や凍結保存された標本の一部など計25頭分を採取して遺伝子解析した結果、魚を餌とするタイプと、アザラシやクジラなどの哺乳類を食べるタイプと一致した。両タイプともカナダ沖やアラスカ沖などの北太平洋で見られるが、どちらのタイプが漁業被害を起こしているか確認できていない。
北海道沖では10年以上前からカレイの最高級品とされる「ババガレイ」の漁網がシャチに破られる被害が頻発。シャチは研究目的以外での捕獲が禁じられており、生態を探ることが課題となっていた。
三谷教授は「シャチがいるのは豊かな海の証拠。シャチと共生していくためにもさらに生態を明らかにしていきたい」と話す。
村瀬弘人・東京海洋大准教授(鯨類生態学)の話 「データが少なかった日本近海のシャチの生態解明につながる重要な成果だ。行動範囲や実際に何を食べているかなど、日本近海のシャチならではの特徴についてさらなる調査が期待される」