冬から春の明石海峡にイルカ、ノリ養殖網に集まる魚狙い?…神戸大や京都大のチーム「イルカと人間が共存」可能性も
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明石海峡周辺には、冬から春にかけてイルカがやってくる――。そんな研究成果を神戸大や京都大の研究チームが発表した。イルカの出現はノリの養殖時期と一致しており、養殖網の周囲に集まる餌の魚類を求めて姿を見せるとみられる。チームは「人の活動が活発な海域でも、イルカは季節の環境変化に応じて柔軟に対応している」としている。(神戸総局 行成靖司)
音響データ解析
明石海峡周辺を含む大阪湾では、これまでもイルカの目撃情報があったが、科学的な調査は行われていなかった。神戸大の岩田高志助教らは2022年7月~23年12月、1日平均600隻を超える船舶が航行する明石海峡周辺の海中に、イルカが発する高周波音を捉える装置を設置。得られた1万3000時間以上の音響データを解析した。
その結果、音が検出された時期はノリの養殖が行われる冬から春(12~4月)に集中していた。夜間が多く、餌を捕らえる際に連続して発する「バズ音」もあった。洋上からの目視では、夜間に餌をとる習性があるマイルカ科のハセイルカの群れを確認しており、ハセイルカによる音の可能性が高いという。
網の被害なく
養殖網の付近では小魚やクロダイが増えるなど、一時的に生態系が豊かになる。ハセイルカの餌となる魚類も豊富で、それらを狙って現れるとみられる。
今のところ、イルカによる網への被害は確認されていないという。岩田助教は「多くの船舶が行き交う海域でも、イルカと人間が共存できる可能性が示された」と話している。論文が国際科学誌に掲載された。
三谷曜子・京大野生動物研究センター教授(
◆ハセイルカ= 世界の温暖な海域に生息し、日本では九州や四国沖などで目撃される。体長は2~2.5メートル。群れを作り活発に動くが、神経質な性格のため水族館での飼育は難しいとされる。大阪湾では小型のイルカ「スナメリ」が生息するほか、「ミナミハンドウイルカ」が迷い込んだケースがある。