半世紀も進展ない新幹線の基本計画、地元が「整備計画」格上げへと総決起…「東九州」「四国」など11路線
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新幹線の整備に関する法律で建設すべき路線と位置づけられている東九州や四国の「基本計画路線」について、各地の整備促進団体が一堂に会する全国初の総決起大会が22日、東京都内で開かれる。大分県の佐藤樹一郎知事が発起人となり各地の知事や経済界関係者らに参加を呼びかけた。半世紀あまり進展のない基本計画路線を動かすうねりをつくり出せるか注目されている。課題は資金調達で、全国知事会などは新たな手法を提案している。(池田圭太、池田寛樹)
「50年以上一歩も動いていない」
「50年以上、一歩も動いていない。置いていかれているのが今までの姿だ」
佐藤知事は5日の年頭記者会見で、大分や宮崎、四国4県などを含む基本計画路線についてこう述べた。そして総決起大会の狙いについて、「全国的な機運を高めたい。国を動かす、より大きな力となることを期待したい」と強調した。
基本計画路線は、全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づき、1972~73年に決定した東九州新幹線や四国新幹線など全国11路線。具体的に整備に向けて国が動き出す「整備計画路線」への格上げは50年超行われていない。
東九州新幹線は、福岡市を起点に大分、宮崎県を経由して鹿児島市に至る構想で、九州の「新幹線空白地帯」となっている両県にとり実現は悲願だ。四国と九州を橋か海底トンネルで結ぶ豊予海峡ルートを含む四国新幹線も、格上げを求める動きが活発化している。
一方、整備計画で着工していないのは北陸の敦賀―新大阪と、西九州の佐賀県内の区間のみだが、いずれもルートや整備費の地元負担などで協議が難航し、実現のめどは立っていない。
「国交省に話をしても『今の整備計画が終わらないと(基本計画も)進められない』という返答だ」。もどかしさを抱える佐藤知事は昨年夏、総決起大会を提案した。大分県交通政策局の幹部らが秋にかけて基本計画路線の自治体を訪問して回り、知事の思いを伝えてきた。ある県幹部は「基本計画路線は日本全体の新幹線ネットワークの問題なのに、ローカルの話に
14日に大分市で開かれた新幹線などに関するシンポジウムでは、宮崎県の河野俊嗣知事が「結束力のもとにしっかり進めていきたい」と語った。愛媛県の中村時広知事はビデオメッセージを寄せ、「豊予海峡ルートも四国新幹線とともに国家プロジェクトとして動かすべきだ」とした。
「格上げ」向け法定調査実施など決議採択へ
総決起大会は、東九州、山陰、中国横断、羽越などの基本計画路線の実現を求める6団体の主催。大分、宮崎、福岡、高知、山形など8県の知事と四国経済連合会の長井啓介会長(四国電力会長)も出席予定だ。関係自治体の国会議員らも加わり、500人程度が参加する見込み。
基本計画から整備計画への格上げに必要な法定調査の早期実施や、新幹線の整備財源の大幅な拡充などを求める決議を採択する予定。決議は政府に提出する考えだ。
課題は資金調達、事業費乏しく
課題は資金調達だ。宮崎県が2024年に公表した試算では、東九州新幹線の日豊線ルートは3・8兆円だった。一方、整備中の新幹線の財源は毎年、政府予算で投じられる約800億円と、JR各社が新幹線の設備使用料として開業後に国側に30年間毎年定額を払う「貸付料」(年間計約800億円)が原資で、事業費は乏しい。
全国知事会は財源を二つ提案している。貸付料の延長・引き上げと、1人3000円(現行1000円)に引き上げられる見通しとなっている出国税の一部の充当だ。さらに佐藤知事は、国内で年間約4億人が利用する新幹線の運賃への上乗せも主張している。
貸付料の見直しは実際に国交省の有識者会議で検討が進められている。運賃上乗せは、財務相の諮問機関・財政制度等審議会の委員を務める増田寛也・元総務相が14日のシンポジウムで言及。新幹線のネットワーク形成が進めば、利便性が高まるため、「500円ほど上乗せして整備するのは有効ではないか」と語った。500円で年間約2000億円の新たな財源になる。
京都大の中川大・名誉教授(交通政策)は「『財源がない』といって法で定められた基本計画を進めないのはおかしい。一致団結して声を上げる必要がある。総決起大会を継続的な活動につなげることが重要だ」としている。