【ファクトチェック】外国人に事実上の「生活保護」は憲法違反?
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参院選が公示されて以降、「生活保護は日本人が対象で、外国人に支給するのは憲法違反」などという言説がX(旧ツイッター)で拡散している。生活保護法は支給対象を「国民」としており、これに外国人は含まれないとの最高裁判決をもって、外国人への支給には根拠がないと主張する内容だ。
最高裁判決「事実上の保護の対象となり得る」
生活保護法は第1、2条で保護の対象について「国民」と明記している。2014年7月18日に最高裁第2小法廷は、「国民」とは日本国民に限られ、外国人は含まれないとの判断を初めて示した。外国人には同法に基づいた生活保護の受給権がないことになる。
しかし、困窮する外国人を放置すると人道上などの問題が生じることから、政府は、永住者など一定の在留資格を持つ外国人を対象に、自治体が生活保護法の手続きにのっとって必要な保護を実施することを通知などで求めてきた。
1954年5月8日付で旧厚生省が都道府県知事宛てに出した通知がそうで、「当分の間、一般国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて必要と認める保護を行うこと」と明記されている。14年の最高裁判決も「外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得る」と示している。厚生労働省の「被保護者調査」によると、今年4月時点で、外国人が世帯主である約4万7000世帯が保護を受けている。
外国人関連の投稿、拡散しやすく
このように外国人に対する事実上の生活保護を「憲法違反」とする判例はなく、「生活保護は日本人が対象」であることは正しいが、外国人に事実上の生活保護を支給することを「憲法違反」とは言えない。
在留外国人が増加する中、地域社会でのトラブルや体感治安の悪化に不安を募らせる国民もいて、外国人に関連した投稿が拡散しやすくなっているようだ。参院選でも、外国人問題への対応策が争点の一つとして急浮上している。
※今回のファクトチェックは日本新聞協会に加盟する佐賀新聞社、時事通信社、日本テレビ放送網、読売新聞社の有志4社が共同で行った。