ベネズエラ攻撃、米国内で法的根拠問う声「議会の承認なく無謀」…中露の軍事行動助長しかねないとの見方も
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【動画】ベネズエラ大統領、米麻薬取締局の事務所に護送される
【ワシントン=阿部真司】米軍が3日に行った南米ベネズエラに対する地上攻撃について、法的根拠を問う声が米国内で相次いでいる。政権はベネズエラの反米左派ニコラス・マドゥロ大統領の刑事訴追のために必要な措置だったとしているが、野党・民主党は議会への事前承認がなかったことを問題視している。
上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務は3日の声明で「議会の承認なしに、その後の展開に関する信頼できる計画もないまま軍事行動を起こすのは無謀だ」と非難した。
トランプ政権は軍事作戦の法律的な裏付けを明確には示しておらず、米紙ニューヨーク・タイムズは3日の社説で「ベネズエラ攻撃の法的根拠などみじんもない」と批判した。
だがこうした指摘に対し、トランプ政権は意に介する様子を見せていない。ルビオ国務長官は3日の記者会見で、奇襲作戦の特性上、「事前通知できる種類の任務ではなかった」と説明し、問題ないとの認識を示した。トランプ大統領は「議会は情報を漏らす」と語り、不信感をあらわにした。
第1次トランプ政権は2020年、麻薬密輸などに関与したとしてマドゥロ氏を起訴した。ルビオ氏は米国での刑事訴追に向け、マドゥロ氏をベネズエラで拘束する必要があったと説明し、米軍は「司法省の任務を支援した」と述べ、作戦の主眼はあくまで米政府による法執行だと強調した。
ただ3日の作戦は、トランプ氏が記者会見で「米国史上、最も驚異的な軍事力の発揮」と自負する大規模なもので、政権の主張は説得力を欠いているのが実情だ。
圧倒的な軍事力を背景とした今回の米国の攻撃が、中国やロシアの軍事行動を助長しかねないとの見方も出ている。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン上級顧問は取材に対し、米国とベネズエラ、中国と台湾の関係には「憂慮すべき共通点がある」とした上で、「いずれも大国が相手を正統な政府とみなしておらず、軍事力にも大きな格差がある」と指摘した。
与党・共和党内からも懸念の声が上がる。共和党のドン・ベーコン下院議員はSNSへの投稿で、ロシアや中国が米軍の作戦を口実に、「ウクライナでの野蛮な軍事行動や台湾侵攻を正当化する可能性がある」と危惧した。
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