国立大、女性教員を増やす取り組みを加速…「旧帝大」の助教以上は2割止まり 

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 有名国立大が女性教員を増やす取り組みを加速させている。東京大や京都大など「旧帝大」と呼ばれる7大学はいずれも、助教以上の女性教員が全体に占める割合が2割前後と低い。女性が少ない理工系学部の教員数が多いためで、各大学は、研究を続けられる環境整備や採用を増やす工夫などを強化している。(佐々木伶)

■学生が授業 

 京都大にある学童保育「KuSuKu(クスク)」(京都市)は、教職員らの子どもの小学生専用で、週末や夏休みなどに開く。学会は休日開催が多く、女性研究者らから「子どもの預け先に困る」との声を受けて設置された。午前8時~午後7時で、利用料は1日3960円(税込み)。開設から2年、定員35人が埋まる日も多い。

 キャンパス近くの立地を生かし、専門的な内容を分かりやすく伝える「授業」も行っている。9月下旬には、小児看護を学ぶ学生らが看護師の仕事について授業を行った。小学5年生(11)は「『はたらく細胞』というアニメを見て医学に興味があった。知らないことを知れて面白い」と笑顔を見せた。

 人文科学研究所の森谷理紗・特定准教授(45)は小学4年の双子を育てており、昨夏の着任以来、15回ほど利用した。「関西には親戚がおらず、一日中留守番させるわけにもいかないので助かる」と話す。

■先入観は今も 

国立大の女性教員の比率とランキング
国立大の女性教員の比率とランキング

 国立大学協会の調査で、京大の助教以上の女性教員の割合は2024年度、18・4%で、5年前から6ポイントアップした。クスクの設立や、出産や介護から復帰する教員への支援金(50万円)の支給といった支援を拡大する一方、各学部で掲げた目標に達しない場合は教員の定員が削減される可能性もあると通達しており、“アメとムチ”方式で奮起を促した。それでも、全国立大86校では60位にとどまる。

 最も高かったのは東京外国語大(45・6%)で、お茶の水女子大や奈良女子大、東京芸術大が続く。教育大などは高く、総合大や工業大は低い傾向がある。

 「女性は文系」という先入観が進路選択に影響を与えてきたとされるほか、実験などが必要な理工系の研究は、出産などのライフイベントとの両立が難しいというイメージが強い。

 大規模な理工系学部を持つ旧帝大の7大学は2割前後。うち、最も高かったのは39位の名古屋大で、各部局の数値目標の達成度などを予算に反映する仕組みを取り入れて大幅に増やした。続く大阪大も、休日や早朝に利用できる一時保育室を全3キャンパスに設置するなどして40位だった。

 東京大は73位で、7大学で最下位。27年度までに女性約300人を新たに教授や准教授に登用する方針を打ち出しているが、吉江尚子副学長は「女性研究者が少なく候補者が見つかりにくい分野もある。全学で意識共有を進めたい」と言う。

 国の財政支援もあり各大学の数値は上昇傾向ではあるものの、大幅な変化にはつながっていない。そもそも女性研究者の数が限られる中、各大学が女性教員の増加を急いでおり、名古屋大の永田雅子副学長は「教授などの上位職は女性研究者の奪い合いになっている」と話す。

OECDで日本最下位 

各国の高等教育機関における女性教員の割合
各国の高等教育機関における女性教員の割合

 経済協力開発機構(OECD)が25年に公表した調査結果では、日本の高等教育機関の女性教員の割合は31%で、平均46%のOECD加盟国で最下位だった。教員の男女比が大きく異なると、研究で多様な視点が得られず、着眼点が偏ったり、発展につながりにくかったりすると指摘される。

 東北大DEI推進センターの佐々木成江教授は「優秀な人材を埋もれさせていないか、評価のあり方を見直す必要がある。能力のある女性を適切な地位につけることは、研究力の向上につながるという共通認識が不可欠だ」と話している。

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