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【ダイヤモンド・チェーンストア12月15日号・1月1日合併号のアマゾンでの販売について】

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【ダイヤモンド・チェーンストア12月15日号・1月1日合併号のアマゾンでの販売について】

食品スーパー業界で「飛び地出店」「飛び地M&A」が頻発している理由

文:佐々木 泰行(佐々木泰行事務所代表・研究主幹)

特定の地域に多店舗出店することでエリア内の占有度を高める「ドミナント戦略」は、チェーンストア展開の基本だ。しかし、昨今の食品スーパー(SM)業界では、有力企業を中心に、自社の地盤から大きく離れた「飛び地」において、そこを地盤とする企業のM&A(合併・買収)や、新規出店を行うケースが増えている。効率面から好ましくないとされていた「飛び地」でのM&Aと出店。今回は、この新しい潮流について考察する。

この記事のキーポイント

  • チェーンストア展開の基本であるドミナント戦略から逸脱し、自社の地盤から大きく離れた「飛び地」でのM&Aや新規出店を行う食品スーパーが増えている
  • この新しい潮流は、効率面からリスクが高いとされてきた手法であり、決算説明会でもアナリストから批判的な質問が出るなど注目を集めている
  • この戦略を採用する企業として、関東圏外の企業を買収したブルーゾーンHDや、関東圏に飛び地出店したバローHDなどの例がある

規模拡大の手法に見られる微妙な変化

 2025年2~3月期の中間決算・8~9月期の本決算と、それに伴う決算発表・説明会が一巡した。好調な業績を上げているところも少なくないが、全体の決算動向をざっくりとまとめると、原価高騰を受けての価格転嫁が一巡し、粗利益率がやや低下。各種経費の増加も影響し、業績は横ばいという企業が多く見られた。

 一方で、業績よりも印象的だったのが、有力企業における規模拡大のための手法の微妙な変化だ。複数の企業で、自社の事業エリアから遠く離れた地域を本拠とする企業のM&Aや、飛び地への出店が見られている。

 チェーンストア理論のもと、多くの企業が取り組む「ドミナント戦略」。エリア内に多店舗展開することでシェアを高め、収益性の向上を図り、隣接エリアにドミナントを広げて規模拡大を進めるというのは、チェーンストアの基本だ。

 この原則から考えても、これまでは自社エリアを飛び越えたエリアでのM&Aや出店はリスクが高いとされてきた。実際、決算説明会の質疑応答の場面では、それに対してかなり強く批判めいた質問も出たほどだ。

 SMの事業拡大、業界再編の動向に変化が起きていると感じざるを得ない。

ブルーゾーンHDのデライトHD買収

 本稿では、先述の自社エリアを飛び越えたM&Aや飛び地への出店を、便宜上まとめて「シン・ドミナント戦略」と呼ぶこととする。直近で見られた「シン・ドミナント戦略」の例を挙げよう。

 まず、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)が10月に設立した持ち株会社ブルーゾーンホールディングス(同:以下、ブルーゾーンHD)だ。同社は10月1日の設立と同時に、文化堂(東京都/山本敏介社長)の完全子会社化と、デライトホールディングス(愛知県/白井健太郎代表:以下、デライトHD)の連結子会社化を発表し、大きな話題となった。

 このうちデライトHDは、「クックマート」の屋号で愛知県東部と静岡県西部で12店舗を展開するローカルチェーンだ。ブルーゾーンHDはこれまで、神奈川県の「エイヴイ」、千葉県の「せんどう」などをM&Aで手に入れてきたが、それらはすべて関東圏の企業であった。

クックマート外観
ブルーゾーンHDが買収したデライトHDは、「クックマート」の屋号で愛知県東部と静岡県西部でSM12店舗を展開する

 デライトHDのような中京圏のSMとなると、ブルーゾーンHDにとって

この記事をさらに読むと、食品スーパー業界において、従来の常識を覆す「シン・ドミナント戦略」と呼ばれる新しい成長戦略がなぜ有力企業で広がりつつあり、それが今後の業界再編や競争環境にどのような影響を与えるのかについて理解することができます。

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