西城秀樹さん生誕70年、FC会員は生前の2・5倍超に増加中…それぞれの人生重ねフィルコンで「ヒデキィ!」

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 広島市出身の歌手、西城秀樹さん(1955~2018年)は生誕から70年。これを記念し、故郷で初めて開かれたフィルムコンサート(フィルコン)は熱狂のうちに幕を閉じ、新たな映像の発掘・公開や写真集の復刊が続く。ファンクラブ会員も増加中で、昭和のスーパースター「秀樹」の 界隈かいわい は今も熱い。(西堂路綾子)

ペンライトを振って声援を送るファンたち。フィルムコンサートには県内外から多くのファンが訪れた(10月、広島市安佐南区で)=東直哉撮影
ペンライトを振って声援を送るファンたち。フィルムコンサートには県内外から多くのファンが訪れた(10月、広島市安佐南区で)=東直哉撮影

用意はいいか!!!

 10月11、12日、同市のマエダハウジング安佐南区民文化センター。大画面から秀樹が「用意はいいか」と呼びかけると、観客は「イエーイ」と応える。

 〽君が望むなら(ヒデキィ!)  生命いのち をあげてもいい(ヒデキィッ!!)

 ペンライトが揺れ、秀樹が日本での先駆けとなった「コール&レスポンス」で盛り上がり、マイクスタンドを蹴り上げ自在に操る姿に酔う。映像の迫力と大音響、観客の熱気が混然一体となった。

 上映されたコンサート映像は2本。このうち、2001年の映像は秀樹45歳、円熟の歌声で往年のヒット曲を繰り出す。もう1本は新発見の1978年の大阪球場ライブノーカット版で、洋楽も軽々と歌いこなす。妻の誘いで初めてフィルコンに来た山口県の公務員男性(59)は「なじみの曲ばかりで楽しめた。ライブ感がすごい」と感嘆した。

「なぜ今?」の問いに

 会場でファンに「なぜ今、秀樹なのか」を尋ねると、彼の生き方や歌の世界にそれぞれの人生を重ねているようだ。

 静岡県の介護施設調理員の女性(66)は、結婚や子育てで一度は秀樹から遠ざかった。耳の病に苦しんでいた2016年、2度の脳 梗塞こうそく と闘う秀樹が、同県内で出演したコンサートに行った。「全く聞こえず人に会うのも嫌で、死ぬ方がましと思った時期もあった。でも秀樹さんは立ち上がって歌おうとしていた。今を懸命に生きなければ」と誓った。

 秋田県から来た会社員女性(23)は就活で苦戦中の昨年、動画サイトで歌唱力や目の輝きに引き込まれた。「『勇気があれば』は何度聴いたか。前向きになれたと思った頃、内定が出始めた。これほど心を動かされた歌手は初めて」と話す。

生誕の地での開催はいやおうなしに盛り上がる
生誕の地での開催はいやおうなしに盛り上がる

 熱狂の裏には、事務所の努力がある。残る映像の中で秀樹が歌う洋楽の権利、許諾を1曲ずつ確認。1984年出版の写真集も今秋復刊させた。ファンクラブ会員は生前の2・5倍以上へと増え続ける。

 事務所の担当者は「実力と格好良さ、上品さを兼ね備え、ファンに惜しみなく愛情を注いだ人。誰もやったことのない挑戦を支えようとスタッフも動く。あんな才能、魅力的な人は二度と出ない」と語る。デビュー55周年を記念する2026年からの1年間も、新作の公開やイベントが予定されている。

フィルコン期間にぎわう聖地

 フィルコンの期間中、広島市内にある秀樹ゆかりの場所は〈聖地巡り〉のファンでにぎわった。このうち、秀樹が通ったお好み焼き店を後日訪ねると、ファンらに向けて「焼きっぱなしの2日間」だったらしい。

 店主の女性(89)は秀樹との交流を振り返った。「広島に帰ってくると、ばあ、と店をのぞいてくれた。指定席の壁際に腰を下ろして『ほっとするな~』と。うどん入りが好きやったね」

 店主の「秀樹の一曲」を尋ねた。「『ブルースカイ ブルー』かな。昔歌ってる時はそうでもなかったけど、今聴くといいね。ちょっと早すぎたね」

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