大学に専門課程「契約学科」の設置推進へ…企業が資金や人材提供、提携企業に就職可能
完了しました
政府は全国の国公私立大学に対し、企業が資金・人材・技術を供与して学位授与にも関与する専門教育課程「契約学科」の設置を促す。人工知能(AI)や半導体といった戦略領域で高度人材を育成し、卒業後は提携企業への就職も可能とする。2027年度に第1弾の設置を目指す方針。
政府は、25年度補正予算に関連費用103億円を計上した。10億円を上限に、契約学科の設置に必要な費用の3分の2を大学に補助する。
理系大学院の修士、博士課程での設置を主に想定している。具体的な学問領域は幅広く認める方針だが、AIや半導体、量子技術などの先端分野、機械工学や通信を含めた横断的な知識が必要な自動運転、人材不足が深刻な原子力関連を念頭に置いている。「AI」や「半導体」といった名称が学科名に掲げられるとみられる。
設置する際は、まず企業が大学と契約を結び、カリキュラム作成に積極的に関わる。自社の技術者や専門家が教壇に立ち、ビジネス面で必要とする内容を中心に学生の指導も行う。
契約学科に所属する学生は、協力企業から奨学金などの支援を受けられ、卒業後は即戦力としてその企業に就職することも可能になる。博士号取得者が任期付き研究員として不安定な雇用状況に置かれている「ポスドク問題」の解消につながるとの期待もある。
従来、産学連携の取り組みは、企業と大学による共同研究や寄付講座が中心となってきた。契約学科は、学科全体の方針に企業が関与するため、より実務に必要な知識を網羅的に学ぶことができる。
契約学科は、韓国や台湾の大学で導入が進んでいる。03年に制度が導入された韓国では、サムスン電子による「半導体システム」、ヒョンデ(現代自動車)による「スマートモビリティー」といった設置例がある。台湾大学は22年、台湾積体電路製造(TSMC)など4社や行政機関が8億円を拠出し、半導体を研究する重点科学技術研究学院を設置した。
経済産業省幹部は「先端分野では技術の進化が速く、学生段階から専門人材を育成していかなければ国際競争に打ち勝てない時代になってきている」と話す。