アイヌ遺骨収集、日本人類学会など2団体「おわび」・・・北大が早期の声明発表へ
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アイヌ民族の系統を調べるため、大学教授らが行った遺骨の収集・保管を巡り、日本人類学会と日本考古学協会は15日、これまでの研究姿勢について、それぞれ「おわびする」との声明を発表した。10月には東京大もアイヌの遺骨に関する「おわび」を公表。先住民族への配慮を欠いた姿勢を検証する機運が高まる中、収集で中心的な役割を果たした北海道大の対応が注目される。
2団体のうち、日本人類学会は「入手経緯に関する問題意識が薄かった」とした上で、「歴史と実態を重く受け止め、
2024年4月には日本文化人類学会もおわびを表明しており、3団体は15日、「アイヌの先住性を否定するヘイト(不当な差別的言動)を看過できない」とする共同声明も発表した。
東大は、「先住民族の尊厳を深く傷つけた」とし、遺骨の返還方針を明確にするため、林香里副学長を座長とする専門チームが検証を始めている。北海道アイヌ協会の貝沢和明さん(62)は「国連宣言(07年)やアイヌ新法(19年)など、先住民族への理解を深める動きに呼応しているのではないか」と推測する。
文部科学省によると、アイヌの遺骨収集は1878年以降、東大や北大など計12大学が人類学の研究目的で行ってきた。
遺骨の約6割にあたる824体を収集・保管してきた北大は2013年と18年に調査を実施し、当事者の意に反しては行われなかったとした。ただ、宝金清博学長は11月の記者会見で「他大学と比べ北大とアイヌの関わりは大きい。これまで続けてきた検証に基づき、早期の声明発表を目指す」と述べた。
貝沢さんは「これまで研究者にとって遺骨は標本にすぎず、アイヌの人々は研究される対象でしかなかった」と指摘。「謝罪すれば終わりでなく、対等な立場で共生する未来に何が必要か考え続けてほしい」と訴えている。