神戸・エレベーター転落死、扉開いたままでも「かご」動く状態…保守管理会社社員が安全装置切る
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神戸市中央区の商業ビルで2月、開いたままのエレベーターの扉から男性が転落死したとみられる事故で、事故の数か月前、エレベーターの保守管理会社の男性社員が安全装置を切り、扉が開いたままでも「かご」が動く状態だったことが捜査関係者への取材でわかった。兵庫県警は、男性社員の対応が事故につながった可能性があるとみて、業務上過失致死容疑で捜査を進めている。
県警によると、事故は2月27日未明、8階建ての「あじびる」で発生。ビル内のカラオケ店を利用していた同県芦屋市の医師田中翔さん(当時31歳)が、エレベーターのかごが上下する空間の底で倒れた状態で見つかり、死亡した。死因は背中を強く打ったことによる血気胸だった。4階の乗り場側の扉が、かごのない状態で開いたままになっており、県警は、そこから転落したとみている。かごは5階以上にあったという。
事故を受け、国土交通省は調査を開始。県警は、エレベーターの製造元で保守管理も担う「三菱電機ビルソリューションズ」の兵庫支店(神戸市)を業務上過失致死容疑で捜索し、社員らから聴取するなどしてきた。
同社によると、エレベーターは1977年に設置。3か月に1回定期点検され、昨年12月の点検時には異常はなかった。
捜査関係者によると、男性社員は県警に対し、この点検より前にエレベーターに不具合があるとの通知を受け、作業をしやすくするため制御盤の配線を付け替えて安全装置を切り、乗り場側の扉が開いていてもかごが動くようにしたと説明したという。
一方で、4階の乗り場側の扉が開いたままになっていた理由は、わかっていない。扉は通常、かごがない状態で開かない仕組みになっており、扉が開いた経緯や原因について県警が捜査を続けている。