畑違いの部署に異動し「そんなことも分からないのか」うつ病発症して自殺…公務災害の不認定取り消し判決
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2015年10月に自殺した福岡県直方市の市職員の男性(当時44歳)の遺族が、公務災害と認定しなかった処分の取り消しを求めた訴訟の判決が5日、福岡地裁であった。中辻雄一朗裁判長は、男性が畑違いの部署に異動したにもかかわらず、周囲の協力を得られずに「強度の精神的負荷が生じていた」として、処分を取り消した。
判決によると、男性は15年6月に保険課から商工観光課の係長に異動した後、うつ病を発症。異動から約4か月後に自殺した。男性の妻は、地方公務員災害補償基金に対して民間企業の労災にあたる公務災害の認定を求めたが、17年4月、公務外と認定された。
判決は、上司や部下の「そんなことも分からないのか」「それは係長の仕事でしょう」といった発言を「不適切」と指摘。仕事の変化が伴う異動にもかかわらず、引き継ぎ書には具体的な業務の進め方が記載されておらず、上司や部下から精神的圧迫を受け、孤立感を深めたと判断した。その上でうつ病を発症し、自殺に至ったことを「公務に起因すると認められる」と結論づけた。
同基金は「判決の内容を精査し、今後の対応について検討する」とコメントした。