フライト訓練滞る航空大学校、年間卒業生の2倍近くが自宅待機に…定員増加に対応追いつかず
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パイロットを養成する独立行政法人「航空大学校」(宮崎市)で学生の飛行訓練が滞り、年間卒業生の2倍にあたる約140人が自宅待機していることがわかった。定員増加に学校側の対応が追いついていないことが原因で、待機期間の平均は1年を超えている。航空大は今後、海外での訓練を実施するなど学生の訓練時間を確保していきたい考えだ。(小池和樹)
国内航空業界では2030年頃に現役パイロットが大量退職を迎えるとされ、パイロットの養成拡大は喫緊の課題になる中、航空大の現状は厳しい。
国土交通省によると、航空機システムなどを学ぶ学科課程が始まらなかったり、フライト課程の途中で自宅に戻って待機したりしている学生は、今年8月末時点で146人に上る。昨年度の卒業生は73人で、年間卒業生の2倍の学生が自宅待機していることになる。授業料の追加負担はないが、待機期間の生活費は自己負担となっている。
待機期間も年々延びており、昨年度の平均待機期間は計475日だった。学生らは本校(宮崎市)、帯広分校(北海道)、仙台分校(宮城県)を移動し、それぞれ5~7か月ずつの訓練を受けるが、待機中は学校の寮から自宅に戻って自習をする。このため、卒業までの期間が本来の2年間を大幅に超える事態が常態化しているという。
大きな原因の一つは、入学定員の拡大だ。30年までに訪日観光客6000万人とする政府目標実現に向け、年間72人だった入学定員を18年度から108人に増やした。訓練機材や教官の拡充を図ったものの、定員増加に伴って訓練日程の管理などが複雑化したことで訓練の遅れが慢性化した。
待機期間の長期化で学生の就職が遅れるなどの影響も出ており、国交省は今年4月に有識者らによる対策検討会を設置。待機学生の解消方法として、原則平日のフライト訓練を晴天時には土日も行うことや、米国や豪州など複数の滑走路がある機関での訓練実施を検討するよう提言した。
航空大では、28年度内に待機学生を解消することを目指していくという。国交省航空局の石井靖男安全部長は「対策を実効性あるものとして動かしていく」と話した。
◆ 航空大学校 =民間パイロットを養成する国内唯一の公的機関で、飛行訓練や座学授業などを受ける学生たちは、2年間で事業用操縦士などの資格を取得することができる。国内主要航空会社のパイロット計7274人(昨年1月時点)のうち、2454人を卒業生が占める。