西田敏行さん周囲に笑い 「植村直己物語」 登山ロケ同行・八木原さん 「情深かった」
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俳優の西田敏行さんが17日に亡くなったことが明らかになった。かつて西田さん主演の映画の撮影に約3か月間、同行したことのある元日本山岳・スポーツクライミング協会会長の八木原圀明さん(77)(前橋市)が思い出を語った。「人なつっこく、周囲に笑いが絶えなかった」と人柄をしのんだ。
西田さんは、世界的な日本人登山家を描いた映画「植村直己物語」(1986年)で主役を演じた。ロケは1985年8~10月、チョモランマの標高5350メートルに位置するベースキャンプで行われ、八木原さんは撮影隊長として、危険な雪山での安全管理や登山指導を行った。装備品の時代考証も担った。
西田さんは高山病を防ぐため高所順応のトレーニングを兼ねて26日間をかけベースキャンプに到着し、さらに標高の高い氷河などでも撮影に臨んだ。八木原さんは「(西田さんは)最初は高山病でつらそうだったが、体力があったので、問題なくロケをこなした。ボンベの酸素を吸うと急に元気を取り戻して……」と振り返った。撮影期間中、八木原さんは西田さんらと生活を共にしたといい、ウイスキーのグラスを交わした。
西田さんはその後、舞台などで前橋市を度々訪れた。八木原さんはこの映画に携わった山仲間と共に、西田さんを囲んで酒席を設けた。八木原さんは「アカペラで『もしもピアノが弾けたなら』を歌ってくれた。感動したな。名優であり、人間として情も深かった」と早すぎる死を惜しんだ。