柏崎刈羽原発 再稼働の行方 新潟県知事選の結果次第
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■新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機は、原子炉への核燃料装荷が終わり、再稼働が可能な状態になりつつある。あとは地元の同意を残すのみだ。
■地元同意のカギを握る花角英世・新潟県知事の2期目の任期は来年6月まで。再稼働同意を表明し、知事選で県民の意思を確認する可能性が高くなっている。
■新潟県は東北電力の管内のため、東京電力の原発が再稼働しても直接のメリットはない。過去に不祥事が相次いだ東電は、県民から信頼されていない。
■知事選で慎重派や反対派が当選した場合、再稼働は難しくなる。再稼働を望むならば、新潟県民に対して何らかの動機付けを考える必要がある。
新潟県柏崎市と刈羽(かりわ)村にまたがる東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を巡る動きに、注目が集まっている。6号機の再稼働準備が進み、地元・新潟県の同意を残すのみとなってきた。来たる知事選で、知事が県民の意思を確認する形になりそうだ。知事選の結果によっては再稼働が遠のく。
再稼働しても電気は県内には供給されず、県民には直接のメリットはない。再稼働を目指すなら、県民に対して何らかの動機付けが必要ではないか。
11月以降に知事が判断へ
原子力規制委員会の審査に「合格」済みの6、7号機のうち6号機は、原子炉への核燃料の装荷が2025年6月に終わり、技術的には再稼働が可能な状態になりつつある。
7号機は25年10月にテロ対策施設の設置猶予期限を迎えており、施設完成まで稼働できない。6号機のテロ対策施設の設置猶予期限は7号機より4年遅い29年9月であり、それまでは稼働できる。
再稼働には地元の同意が必要だ。立地自治体の柏崎市と刈羽村は既に議会が再稼働の請願を採択し、首長も再稼働に前向きだ。
残るは新潟県の同意である。カギを握るのは、花角英世(はなずみひでよ)知事だ。
原子力規制委員会が23年12月、柏崎刈羽原発に対する事実上の運転禁止命令を解除したのを受け、政府は24年3月、花角知事に再稼働への理解を要請した。24年1月の能登半島地震発生で課題として浮上した家屋の損壊や道路の寸断などを踏まえた避難計画を、政府が25年6月に了承している。
新潟県民が求めていた柏崎刈羽原発再稼働についての県民投票条例案は、25年4月に県議会が否決した。花角知事が再稼働判断の条件に掲げていた県内市町村長との意見交換会や、県民対象の公聴会は25年8月までに終了した。
25年9月から始まった県民の意識調査の結果は10月末ごろにまとまる予定だ。花角知事はこれらを総合的に踏まえ、25年11月以降に再稼働の是非を判断する意向を示している(注1)。
与党系で現在2期目の花角知事は、26年6月に任期満了を迎える。その前に柏崎刈羽原発の再稼働同意を表明し、知事選で県民の意思を確認する形になる見通しだ。
花角知事が任期途中で辞任し、出直し選挙で県民の意思を確認するという選択肢もあったが、任期満了が近付いてきたことから、その可能性は低くなってきたとみてよい。
知事選で花角知事が3選を果たせば、6号機は再稼働のプロセスに進むであろう。7号機のテロ対策施設が東京電力の目標通りに29年8月に完成すれば、花角知事の3期目の任期中であり、7号機の再稼働も視野に入ってくる。一方、6号機は29年9月にテロ対策施設の設置猶予期限を迎えるため、施設完成目標の31年9月まで停止する。
知事選で他の候補が当選した場合は、新知事の考え方次第となる。柏崎刈羽原発の再稼働に否定的な知事の時代が長く続くと、当然ながら再稼働は遠のく。廃炉の可能性も出てくる。
知事選の前に花角知事が再稼働同意について県議会に諮り、県議会で議論するというシナリオもあり得る。県議会が再稼働を決議すれば、知事選前に動かせるかもしれない。
柏崎刈羽原発6号機では25年8月、制御棒1本が引き抜けなくなるトラブルが発生している。9月に解消したが、今後もこうしたトラブルは予想され、もし地元同意が実現しても、技術的な理由で再稼働できないこともあり得る。
新潟県民の3~4割は再稼働反対
筆者は23年6月から25年5月まで、読売新聞の新潟支局長を務めた。2年という短い間ではあるが、新潟県民の立場で柏崎刈羽原発の動向を注視した。
読売新聞は基本的に原発再稼働に賛成の立場だが、実際に新潟で暮らしてみると、柏崎刈羽原発の再稼働については県内でも様々な見方があり、意見が割れていることを実感した。
実際、新潟県民を対象とした最近のアンケートでは、3~4割程度が再稼働に反対している。
地元紙「新潟日報」が25年7月の参議院議員選挙に合わせて実施した県民2125人へのアンケート(注2)では、再稼働に「賛成」14・1%、「どちらかといえば賛成」23・7%、「どちらかといえば反対」23・5%、「反対」20・3%となっている。
「賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計は37・8%、「反対」と「どちらかといえば反対」の合計は43・8%だ。
経済産業省資源エネルギー庁が25年3月に実施した県民576人へのアンケート(注3)では、「再稼働すべきだ」18・2%、「安全対策が強化され規制の許可が出て、かつ、避難の対応があれば、再稼働を認めざるを得ない」31・4%、「安全対策が強化され規制の許可が出て、かつ、避難の対応があっても、再稼働を認めることはできない」8・2%、「再稼働すべきでない」22・7%となっている。
条件付き容認も含めた再稼働賛成は49・6%、条件付きを含めた反対は30・9%である。賛成が多いものの、無条件に再稼働に賛成している県民は2割に満たないことがわかる。
「受苦圏」と「受益圏」
柏崎刈羽原発1~7号機の総出力は821・2万キロ・ワットで、世界最大規模だ。1号機の一部を除き、発電した電気が供給される先は、東京電力管内の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県、静岡県(富士川以東)である。
新潟県は東京電力ではなく東北電力の管内だ。2~7号機が再稼働しても、新潟県内の電気料金に直接の影響はなく、電力の安定供給にも直接は寄与しない。1号機は発電した電気の半分が東北電力に供給される。
新潟県が設置した「新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会」の委員長を務めていた池内了・名古屋大名誉教授は月刊誌(注4)で、「新潟県民に原発に関する疑義の念が強いのは、原発が立地しても地元では1キロ・ワットも使わず、ほんの一部の人間が利権で潤うだけなのに、いざ事故が起これば県民全体が大きな犠牲を払わなければならないという矛盾を、県民が強く感じているからである」と述べている。
池内氏は「いわゆる受苦圏(もっぱら被害を引き受ける過疎地)と受益圏(もっぱら利益を享受する都会)の非対称を無視する政治に対する不満もあると言うべきだろう」とも指摘している。
「受苦圏」の新潟県民は、「受益圏」である東京電力管内の人々のために、事故やトラブルのリスクを負う形だ。この非対称が、柏崎刈羽原発の再稼働問題を難しくしている。
政府が再稼働を推進
柏崎刈羽原発の再稼働は、政府も強く望んでいる。25年8月に開かれた第13回原子力関係閣僚会議で石破茂首相(当時)は「関係閣僚と東京電力は、我が国の電力の安定的かつ効率的な供給の確保に向け(中略)柏崎刈羽原発の再稼働への理解が進むよう、全力で対応を進めていただきたい」と述べた(注5)。
国民民主党の玉木雄一郎代表も、月刊誌(注6)で半導体工場やデータセンターの消費電力に触れ、「安価で安定的な電力供給が必須」として柏崎刈羽原発の再稼働を訴えている。
政府と東京電力が柏崎刈羽原発の再稼働を急ぐ理由のひとつは、東電の経営改善である。柏崎刈羽原発の再稼働で東電が利益を得られれば、福島第一原発の廃炉関連の費用の一部をまかなえる。
政府は認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を通じて東電を支援する立場であり、機構は東電の筆頭株主だ。
産経新聞は社説(注7)で、柏崎刈羽原発が再稼働すれば東電の経営状況が改善されることを指摘し、「新潟県民が使わない電気を県内の原発でつくることを疑問視する声もあるが、偏狭に過ぎないか」と主張する。
しかし、政府が東電を支援し、福島第一原発の廃炉を進める仕組みには、新潟県民は直接関係がない。
来たる知事選の構図は
26年6月の花角知事の任期満了前に実施される知事選の対抗馬として有力なのは、前新潟県知事で、立憲民主党衆議院議員の米山隆一氏だ。
米山氏は25年6月、自身の知事選出馬を「排除しない」と述べている(注8)。
新潟県は最近の国政選挙では、立憲民主党が強い。24年10月の衆議院議員選挙は、新潟4区の米山氏を含め、県内の五つの選挙区すべてで立憲民主党の候補が勝った。25年7月の参議院議員選挙は、立憲民主党現職の打越さく良氏が、自民党の新人候補に競り勝った。
この流れを踏まえると、知事選に米山氏が立候補した場合、かなりの票を集めることになるだろう。
医師で弁護士の米山氏は、現在の新潟県魚沼市出身で東大医学部卒。16年10月の知事選で初当選した。知事就任後は県内外の専門家を集め、柏崎刈羽原発の再稼働について技術、健康・生活、避難の三つの観点から「三つの検証」を進めた。
しかし、週刊誌に女性問題を報じられ、18年4月に辞職した。知事の在職期間は1年半だった。
米山氏の辞職に伴う18年6月の知事選で初当選したのが花角氏だ。花角氏は現在の新潟県佐渡市出身で東大法学部卒。旧・運輸省(現・国土交通省)に入省して自動車、航空、観光などを担当し、13年から15年までは新潟県の副知事を務めた。
最初の知事選で花角氏は「脱原発の社会を目指す」「新潟県の三つの検証が終わるまで再稼働の議論はしない」「再稼働の是非は県民に信を問う」と訴え、接戦を制した。22年5月の2回目の知事選は、1期目の新型コロナウイルス対策の活動などが評価され、反原発系の候補に圧勝した。
全基廃炉の可能性も
花角知事について月刊誌(注9)は「官僚時代に二階俊博運輸相(当時)の大臣秘書官を務めた経歴がある」として、「表向きの慎重発言とは裏腹に『隠れ再稼働派』とされる」と評している。
別の月刊誌(注10)は来たる知事選について、「現衆院議員で前知事の米山隆一氏など知名度のある刺客が放たれれば、『地味な花角氏は不利だ』との見方もある」と書いている。「花角知事の敗北は、反原発の勝利」だとして、柏崎刈羽原発が「全面廃炉に突き進むことさえあり得る」とも指摘する。
米山氏は知事時代の講演(注11)で、国の諸制度や県と東電の安全協定を分析しながら、「例えば県が『(原発の)安全性に自信が持てないからできません』と言った場合、その原発はすべて動かせなくなる」「安全に関して問題があると考えられる時、新潟県は柏崎刈羽の原子炉の運転停止を求めることができる」と語っている。
米山氏は知事辞職後、小説家の室井佑月氏と結婚した。21年10月の衆議院議員選挙に当時の新潟5区から無所属で立候補して当選し、立憲民主党に入った。24年10月の衆院選は区割りが変わったため新潟4区から立候補し、再選を果たした。新潟4区は柏崎刈羽原発のある柏崎市と刈羽村を含む。
「新潟日報」は24年の衆院選後の分析記事(注12)で米山氏について、「前知事だったことや、交流サイト(SNS)による発信で知名度は抜群。女性にファンが多い室井も毎回マイクを持ち、有権者の関心を呼び込んだ。陣営幹部は『立憲民主というより、米山・室井党で票を集めた』と総括してみせる」と書いた。
新潟県内の保守系事情通の間では、米山氏だけでなく、妻の室井氏の立候補を警戒する声も出ている。
2012年から全基停止中
11年3月の福島第一原発事故を受け、柏崎刈羽原発は12年3月に6号機が定期検査に入った後、1~7号機の全基が停止したままだ。
13年7月に新規制基準が施行され、東京電力は13年9月に柏崎刈羽原発6、7号機の適合性審査を原子力規制委員会に申請した。17年12月に適合性が認められ「合格」した。
東電はまず7号機を再稼働させるべく安全対策工事などの準備を進めた。ところが21年、柏崎刈羽原発で相次いで不祥事が発覚した。
東電社員が同僚のIDカードを不正使用して中央制御室に入っていた(注13)。見張り人は違和感を覚え、生体認証でもエラーが発生したが、社員は生体認証を再登録したうえで入室していた。核物質防護機能の喪失も判明した。原子力規制委員会は21年4月、柏崎刈羽原発に対し、事実上の運転禁止命令を出した。
東電が改善を証明するまでに2年8か月を要し、規制委は23年12月27日に運転禁止命令を解除した。
その5日後の24年1月1日、能登半島地震が起き、新潟県内でも大きな被害が出た。能登半島の各地で道路が寸断され、家屋が倒壊した。国立国会図書館の調査報告(注14)は、自然災害と原発事故が同時発生した際に「避難や屋内退避を計画どおりに実施できるのかという課題が浮き彫りとなった」と指摘した。避難計画の見直しが必要になった。
募る東京電力への不信感
新潟県内では11年3月の福島第一原発事故以前から、東京電力に対する不信感が積み重なっていた。
「新潟日報」の柏崎総局長は再稼働について、住民避難の問題に加えて、「もう一つ焦点になっているのは、東電に原発を動かす資質はあるのかという問題だ」「県において、東電に対する不信感は、福島事故以前から根強い」と書いている(注15)。
原因は主に三つある。02年8月に発覚したいわゆる「東京電力トラブル隠し」、07年4月までに発覚した東電など電力各社のトラブル隠し、07年7月の新潟県中越沖地震によって柏崎刈羽原発で発生した大小様々なトラブル―である。
東電は原子炉内の大型構造物「シュラウド(炉心隔壁)」にひび割れを見つけながら、点検記録を改竄(かいざん)して隠蔽(いんぺい)していた。ほかにも様々なトラブル隠しが発覚し、社長や会長ら首脳陣が総辞職した。
02年9月には、福島第一原発1号機の定期検査で原子炉格納容器の漏洩(ろうえい)率を偽装していたことが読売新聞の報道で発覚し(注16)、当時の経済産業省原子力安全・保安院が東電に対して1年間の運転停止命令を出した。
東電は、同様の不正行為がないかどうか「総点検」を実施した。膿(うみ)を出し切ったはずが、07年に再び様々なトラブル隠しが発覚した。
筆者は当時、トラブル隠しの実例を月刊誌に報告した(注17)ので詳細は省くが、例えば東電は柏崎刈羽原発で、国の検査に合格するため電動機の故障を隠蔽する工作を行っていた。
翌日に迫った検査のため、深夜に同型の電動機を福島第二原発から柏崎刈羽原発まで輸送するプランAを計画した。プランAがうまくいかなかった場合に備え、中央制御室の表示を偽装するプランBも発案した。実際の検査は、プランBで乗り切っている。
今から思えば、福島第一原発の津波対策も、このぐらい入念に準備してほしかった。
07年7月には、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災し、変圧器の火災や微量の放射性物質漏洩など様々なトラブルが起きた。
これについては当時、筆者らが月刊誌の座談会で報告した(注18)ので詳細は省くが、東電は当初、地元では報道発表をせず、東京でトラブルの内容を説明していた。地元でプレス発表が始まったのは地震発生から4日後である。
新潟県民は東京電力の電気を使っていないため、東電の社員と接する機会はほとんどない。信頼回復のチャンスは少なく、不信感は解消されない。
東電管内の住民ならば、例えば台風や雷で停電が起きた時に素早く復旧してくれた、といったプラス評価の機会もあろうが、新潟県内では望めない。
柏崎駅に新幹線
国益や国策は大事だが、「受益圏」の首都圏などの住民らが柏崎刈羽原発の再稼働を望むならば、「受苦圏」たる新潟県の県民の理解を得るための動機付けが必要だ。
政府ができそうなことはたくさんある。北朝鮮による拉致問題の解決、新潟水俣病の解決、山形県米沢市と新潟県村上市を結ぶJR米坂線の早期復旧などがすぐに思い浮かぶ。
新潟県内に半導体工場やデータセンターを誘致できないか。人口減に悩む新潟県で、新たな雇用を生み出す仕掛けがあるといい。新潟市が防災庁の誘致を目指しているが、協力できないか。
JR柏崎駅に新幹線を通す案もある。上越新幹線と北陸新幹線の谷間になってしまった柏崎駅とその周辺は、だいぶ寂れている。特急列車は1日4往復が停車するだけだ。
柏崎駅のある信越線の区間はかつて、日本海側の鉄道の大動脈「日本海縦貫線」の一部だった。上越新幹線開通前の1982年6月の時刻表を見ると、日によっては1日15往復以上の特急・急行が柏崎駅に停車していた。
新潟県は2022年に「高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会」を設置し、上越新幹線と北陸新幹線の間を結ぶ高速鉄道の可能性を探っている。
柏崎に新幹線を通す場合、上越新幹線の長岡駅(新潟県長岡市)にある「幻のホーム」が使える。
新潟駅行きの列車が停車する長岡駅下りホームの反対側に、レールを敷くスペースが確保されている。田中角栄・元首相が生前、富山から柏崎、長岡、青森をつなぐ「羽越新幹線」の構想を掲げていたため、将来を見越してつくられたという(注19)。
「原発再稼働と新幹線は関係ない」と思われるかもしれない。しかし、政府が原発再稼働の見返りに新幹線の整備を約束した例は、これまでにもある。
政府は05年、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の再稼働に向けた改造工事に着手する際、北陸新幹線の福井延伸を前提とした福井駅着工を約束することで、福井県知事の同意を得た。
「もんじゅを人質に取られた」といった批判も出たが、中川昭一・経済産業相(当時)は国会でこう答弁している(注20)。
「特に福井の場合には新幹線という地元の大変強い要望があることも重々承知しておりまして(中略)その地域が発展をしていき、そしてまたエネルギーの供給基地、エネルギーの研究センターとして発展をしていくということは、我々にとって、国として大いにそれに対してできる限りの御支援をしていくということは、私は当然のことだというふうに考えております」
「安全なら首都圏に」
東京電力は25年10月、柏崎刈羽原発6号機の再稼働後に1、2号機の廃炉を検討することや、地域振興のため新潟県に1000億円規模の資金を拠出することを表明した。地元への配慮だろう。
日本経済新聞は社説(注21)で、首都圏の自治体に対し、福島第一原発事故の除染で発生した除染土の受け入れを求めている。
社説は「新潟県の東電柏崎刈羽原発は再稼働に地元が同意するかどうか、重要な局面にある」として、「消費地の首都圏が新潟県民の思いに応えているかは、再稼働への同意の可否を左右する大きな要素だろう」「除染土の受け入れは、立地地域の懸念を電力消費地が自分事と考えていることを示す一歩」と訴えた。
また、新潟県長岡市の磯田達伸市長は記者会見(注22)で、原発が安全だと断言できる場合、「私はあえてこのような遠隔地の柏崎刈羽にみんなが心配するような原発を作る必要はなくなるのかなとも思います。首都圏でもいいじゃないかと。それだけ安全であるならば」と述べている。
柏崎刈羽原発の再稼働を望む政府や東電、東電管内の住民は、こうした意見にも耳を傾けてほしい。
●注釈
(注1)『読売新聞』2025年9月4日朝刊・新潟「再稼働の意識調査開始 柏崎刈羽 来月末頃 結果報告」
(注2)『新潟日報』2025年7月17日「本社独自県民調査 柏崎再稼働『反対』43・8%」
(注3)経済産業省資源エネルギー庁「新潟県内における広報事業の効果についての調査結果」2025年5月
(注4)池内了「柏崎刈羽原発を動かしていいのか」『地平』2025年3月
(注5)「第13回 原子力関係閣僚会議 議事概要」2025年8月29日
(注6)玉木雄一郎「柏崎刈羽原発を年内に動かせ!」『Hanada』2024年11月
(注7)『産経新聞』2025年2月27日「主張 柏崎刈羽の再稼働 IAEAも肯定的見解だ」
(注8)『読売新聞』2025年6月10日朝刊・新潟「米山氏出馬『排除せず』知事選 立民候補擁立へ意欲」
(注9)蜷川幸三「行き詰まる再建計画―東電・柏崎刈羽原発『再稼働画策』に蠢く奴ら」『ZAITEN』2025年2月
(注10)『選択』2024年3月「東京電力『柏崎刈羽原発』再稼働するのか」
(注11)『NO NUKES voice』2018年4月「原子力政策と地域の未来を問う 講演:米山隆一さん(新潟県知事)」
(注12)『新潟日報』2024年11月3日「4区 米山 作家の妻勢い後押し」
(注13)定國卓也ら「柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護事案に対する改善措置活動について」『日本原子力学会誌』Vol.67、No.7 2025年7月
(注14)国立国会図書館「令和6年能登半島地震への対応(中)―初動対応での課題とインフラへの影響―」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』No.1277 2024年4月25日
(注15)前田有樹「安全・安心を徹底的に追求―再稼働へと動く柏崎刈羽原発の地元紙として」『新聞研究』No.850 2022年12月
(注16)『読売新聞』2002年9月25日夕刊「原発 気密不足隠す 東電 空気注入、偽数値」
(注17)中島達雄「地に落ちた信頼―電力業界の原発トラブル隠し―」『国民生活』2007年6月
(注18)中島達雄ら「新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発被災の報道を検証する」『エネルギーレビュー』2007年10月
(注19)『読売新聞』2017年1月3日朝刊・新潟「長岡駅『幻のホーム』に新幹線を」
(注20)「第162回国会 衆議院予算委員会議録 第15号」2005年2月18日
(注21)『日本経済新聞』2025年7月28日朝刊「社説 首都圏は除染土を受け入れよ」
(注22)「長岡市長記者会見要旨」2025年5月22日