要衝ポクロウシクが陥落危機、ロシアが兵力差8倍の大包囲網…ウクライナ部隊が取り残される可能性も
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ロシア軍の攻勢が続くウクライナ東部の要衝ポクロウシクが制圧される恐れが出てきた。ウクライナや米欧のメディアが6日、一斉に報じた。ウクライナ軍の激しい抵抗が続く中、兵力で大きく上回る露軍は市内に侵入して拠点を構築するとともに、包囲を狭めている模様だ。
ポクロウシクの防衛戦について、ウクライナの英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」は「危機的状況」と報道。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「ウクライナは戦うか兵力を温存するかの選択を迫られている」と伝えた。数週間以内に陥落するとの見方も出ている。
露軍が掌握すれば、2023年5月のドネツク州バフムト以来の主要都市の攻略となる。防衛体制が十分には構築されていない西側のドニプロペトロウシク州やザポリージャ州への侵攻拠点になる恐れもある。
ロシアのプーチン政権は戦況が露側に有利だと訴え、ウクライナを支援しても「意味はない」と米欧をけん制するため制圧を急いでいるとみられる。
露軍は昨年夏頃から攻勢を強め、ポクロウシク方面に10万人以上の兵力を投入。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10月下旬、同方面での兵力差が8倍との認識を示した。
露軍は周辺の制圧を進め、ポクロウシクと隣接する町ミルノフラドが突出した形になりつつある。ウクライナの戦況分析団体「ディープステート」は4日、ポクロウシクについて「(露軍に)のみ込まれつつある」と評価していた。ウクライナ軍部隊が取り残される可能性もあり、撤退して兵力を温存すべきだと提案する専門家もいる。
ポクロウシクは鉄道網などが交差してウクライナ軍の補給の要となってきた。ロシアの侵略前に約6万人だった人口は今、1300人に満たないとされる。