参院選なりすまし「詐偽投票」摘発、3倍超に急増…SNSきっかけに「手ぶらで行ける」制度悪用も

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

「スクラップ機能」に登録したYOL記事の保存期間のお知らせ。詳細はこちら
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 7月の参院選で、他人になりすまして投票する「詐偽投票」の摘発が前回選の3倍以上と急増した。投票所では、事前に各戸配布される「投票所入場(整理)券」を持参しなくても投票できる。選挙への関心が高まる中、こうした仕組みを伝える動画がSNSで大量に出回り、動画を見て犯行を思いついたケースもあった。(広瀬誠、中部支社 小林岳人)

入場券を持たずに期日前投票所を訪れた人に氏名や住所などを書いてもらう名古屋市選挙管理委員会の「宣誓書」
入場券を持たずに期日前投票所を訪れた人に氏名や住所などを書いてもらう名古屋市選挙管理委員会の「宣誓書」

 参院選投票日の7月20日、名古屋市内の投票所。受付を訪れた男性が投票用紙を受け取るため入場券を示した。だが、係員が選挙人名簿を確認すると、記録上、男性はすでに投票を終えていた。「投票したと記録されています」。係員からこう言われた男性は心当たりがないと訴えたが、投票は認められなかった。

 市選挙管理委員会の通報を受けて愛知県警が捜査し、男性の知人の男が2日前に市内の期日前投票所で男性になりすまして投票したことが判明した。男は入場券を持っていなかったが、男性の氏名、住所、生年月日を「宣誓書」に記入し、投票用紙を受け取っていた。

 男は8月、公職選挙法違反(詐偽投票)容疑で書類送検された。男性が投票にいくつもりがないと知った上で犯行に及んだが、男性が心変わりして投票に行ったことで発覚した。

名古屋市の「なりすまし投票」事件の流れ
名古屋市の「なりすまし投票」事件の流れ

 警察庁の8月19日時点のまとめでは、参院選では全国で54事件62人が摘発された。容疑別で最多だったのが詐偽投票の24人で、2022年の前回選より17人増えた。読売新聞が各地の警察や選管に取材したところ、このうち、入場券を持たずに投票所を訪れた容疑者が少なくとも6人いた。

 詐偽投票が増えた要因の一つとして考えられるのが、SNSの存在だ。

 公選法は投票所での本人確認の方法は規定していない。入場券を忘れたり紛失したりした場合、多くの自治体が氏名、住所などを申告してもらい、選挙人名簿で確認できれば投票できるようにしている。

 参院選期間中、SNSには、「手ぶらでも行けます」と投票を呼びかけるものから、「なりすましができてしまう」などと指摘するものまで、こうした手続きの解説動画が多数投稿された。SNSから選挙情報を得る人が増える中、入場券がなくても投票できることが広く知れ渡り、悪用されるケースが出てきたとみられる。

 愛知県警に摘発された男は調べに「SNSの解説動画を見て、住所などを伝えるだけで投票できると思いついた」と供述したという。

 なりすましを防ぐには、入場券や身分証明書の提示を義務づけるのが有効だが、選挙事務の煩雑化や、憲法で認められた選挙権の行使を制限することにつながるとして国は慎重な立場だ。

 早稲田大の河野勝教授(日本政治論)は「投票所の立会人は近隣住人が務めるケースも多いが、近所付き合いが減って顔の見える関係が薄れており、詐偽投票は以前より容易にできるようになっている」と指摘。「選挙当日にどの投票所でも投票できるようにするなど、有権者の利便性を高める工夫をする中で、身分証明書の提示の義務化を検討することも必要だ」と話した。

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

使い方
速報ニュースを読む 「社会」の最新記事一覧
注目ニュースランキングをみる
記事に関する報告
7304775 0 社会 2025/11/07 14:18:00 2025/11/07 14:18:00 2025/11/07 14:18:00 /media/2025/11/20251107-OYT1I50086-T.jpg?type=thumbnail

注目ニュースランキング

主要ニュース

おすすめ特集・連載

読売新聞購読申し込みバナー

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)