イスラエルが描くガザ支配構想、軍占領地域で住民避難地域を3分割か…最北端と最南端を完全に分離

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 【エルサレム=福島利之】イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦拡大の一環として、大規模な地上作戦を開始したと発表した。イスラム主義組織ハマスへの圧力を強化し、人質の解放やハマスの壊滅につなげるのが狙いとしている。イスラエルによる物資の搬入阻止で人道危機が深まるガザで、さらに犠牲者が増える懸念が高まっている。

19日、ガザ南部ハンユニスで、イスラエルの攻撃を受けた場所を調べるパレスチナ人たち=ロイター
19日、ガザ南部ハンユニスで、イスラエルの攻撃を受けた場所を調べるパレスチナ人たち=ロイター

 パレスチナ通信によると、ガザでの18日の死者は148人だった。イスラエル軍は19日、直近の24時間で160か所以上を空爆したと発表した。ここ数日の軍の攻撃は、ガザでの戦闘が3月18日に再開されて以来、最大規模となっている。

 イスラエル首相府は18日、ガザへの食料の搬入を再開すると発表した。支援物資の搬入は3月以降、途絶えていた。公共放送カンは19日、消息筋の話として米国と欧州各国の圧力を受けたものだと報じた。

 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、米国のトランプ大統領の16日までの中東歴訪の終了まで軍事作戦を控える姿勢を示していた。カタールで再開されたハマスとの停戦交渉が進まないことから作戦に踏み切った形だ。ネタニヤフ氏は19日、「戦闘は巨大で激しいものだ。我々はガザの全てを支配しようとしている」とする声明を出した。

 イスラエル軍は作戦に伴い、数万人規模の予備役を招集し、正規軍主体の5個師団をガザに駐留させている。軍報道官は18日の記者会見で作戦が新段階に入ったと位置づけ、「作戦を展開する地域を分割し、安全のためにガザ住民を遠ざける」と述べた。

 英ザ・タイムズ紙は17日、外交筋から入手したとして、イスラエルが描くガザ支配構想を地図つきで報じた。軍がガザの最北端と最南端を完全に分離、占領し、中部の2か所に軍事地域を設置する構想といい、住民は3分割した地域に強制的に移動させるという。

 今回の作戦にはイスラエル国内で懸念も強い。ハマスは依然、抗戦能力を持っているとみられ、地上での戦闘が長引けば、軍兵士の死者が増えることは必至だ。ガザでは約20人の人質が生存しているとみられている。人質の家族会は18日、「人質を危険にさらす」と懸念を表明した。

 イスラエル軍の予備役将軍ノアム・ティボン氏は、本紙に「ガザの分割はハマスの軍事力の解体が狙いだが、事実上のガザの占領だ」と語った。「占領には多大な人的資源と膨大な資金を必要とする。問題のある作戦だ」と指摘した。

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