矯正歯科や脱毛サロン、「一括前払い」の落とし穴…「歯医者が倒産するなんて」80万円支払い一度も治療受けられず

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 矯正歯科や脱毛サロンが突然倒産し、サービスを受けていないのに返金されないトラブルが深刻化している。民間調査会社によると、企業が商品やサービスの提供前に顧客からまとまった費用を受け取る「前受金取引」の広がりが背景にあるという。広告で安さをうたうなどして集客するケースも多く、国民生活センターが注意を呼びかけている。(中西千尋)

治療費80万円

 「歯医者が倒産するなんて思わなかった」。大阪府八尾市の会社員女性(31)は、憤りをあらわにした。

 女性は長年、歯並びに悩んでおり、2023年9月に医療法人「TS会」(大阪市)が運営する「ハートフル歯科・矯正歯科」でカウンセリングを受け、マウスピースでの治療を決めた。同年11月、費用約80万円を現金一括で支払った。

 しかし、そのわずか2か月後、代理人弁護士からのメールでTS会が事業停止したとの知らせを受けた。治療はまだ一度も受けていなかった。破産手続きが進んでいるが、返金はまったくされていない。

 女性は「経営が苦しいなんて思いもしなかった。倒産直前なのに、なぜお金をとったのか」と話した。

顧客囲い込み

 サービスや商品の提供を受け、代金を支払うのが一般的な商取引だが、前受金取引では、まとまった代金を支払った後、一定期間をかけてサービスなどの提供を受ける。

 帝国データバンク大阪支社情報部の藤坂亘氏によると、事業者にとって、▽銀行からの借り入れが少なくて済む▽手元資金が潤沢になり、事業を拡大しやすい▽顧客の囲い込みにつなげやすい――といったメリットがある。

 美容業界や旅行業、結婚式場運営など幅広い業態で見られる。後払いの場合より安価にサービスなどの提供を受けられるとうたって利用者を集めるケースが目立つという。

「学生は意識希薄」

 業界内での競争や、身の丈に合わない事業拡大などで倒産し、返金されない事例は少なくない。

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