1株の稲で2度収穫 「再生二期作」 温暖化逆手 収量増へ 水戸の農家・照沼さん挑戦 

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自分の農地で食卓応援米のパッケージを見せる照沼さん(9月11日、水戸市で)
自分の農地で食卓応援米のパッケージを見せる照沼さん(9月11日、水戸市で)
再生二期作の現場。通常よりも稲を長く残している(2024年8月15日、水戸市で。照沼農園提供)
再生二期作の現場。通常よりも稲を長く残している(2024年8月15日、水戸市で。照沼農園提供)

 稲の刈り取り方を工夫することで、1回の田植えで同じ稲の株からコメを2度収穫できる「再生二期作」に、水戸市の農家、照沼農園社長の照沼洋平さん(45)が挑戦している。温暖化で稲が育つ期間が長くなっていることを逆手に取って開発されたばかりの画期的農法だ。茨城でも根付くのか注目が集まる。(北川一葉)

 照沼さんは2004年、兼業農家だった父親の影響で稲作を始めた。再生二期作に興味を持ったのは3年ほど前。研修会で、兵庫県で先行的に取り組んでいる先輩から話を聞いたのがきっかけだった。当時、コロナ禍で病院食のコメが不足して困っていると取引先の病院から相談を受け、何とか応援したいと思っていたといい、「これしかない」と試すことにした。

 再生二期作は農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)が研究・開発し、24年6月に特許を取得した農法。農研機構によると、稲刈りの際、通常は根元から5センチほどで刈り取るが、約30~40センチの稲穂ぎりぎりのところを切り口とする。こうすることで再生力を旺盛にさせ、寒くなって稲が枯れてしまう前にもう一度、穂をつけさせることが可能になる。

 特別な手間がかからずコストを抑えられ、収量増も期待できる再生二期作。主に九州など温暖な地域で導入が進められているが、温暖化の進行により茨城でも実施できるようになった。ただ、実践しているのは水戸市とつくば市の一部の農家などだけだ。水戸市は最北端の地域で、8月中旬~9月に最初の収穫、11月後半~12月初旬に2度目の収穫が行われる。2度目はコメの粒が多少小さくなるが、味は変わらないという。

 照沼さんは近年、コメが白く濁るなどの「高温障害」に悩んでいたが、逆に温暖化が再生二期作を後押しする形となった。昨年は作付面積全17ヘクタールのうち2ヘクタールで挑戦。肥料や品種を色々変えながら育てたところ、15トンの収穫を上げた。通常なら12トンほどにとどまっていたとみられるという。

 今年は5ヘクタールに拡大。現在、コメの高騰で困っている母子家庭などに、余分に取れたコメを「食卓応援米」として届けられないか検討。NPO法人などと水戸市に支給を働きかけている。「コメによる子育て支援にもかかわることで、再生二期作の必要性を広め、仲間を増やしたい」と前を向く。

 農研機構の中野洋・主席研究員は、再生二期作の意義について「担い手不足が深刻化する中、手軽に多くの収穫量が上げられることから、コメの安定供給には重要になる」と指摘。一方で、その年の気温に左右されるほか、大豆や麦も収穫できるコンバインが必要になるといった課題を示す。茨城など北関東地域では、夏や秋の気温が低いと2度目の収穫ができないなどのリスクもあるという。

 農研機構は安定した収穫量を得るため早く稲穂がつくようにする品種改良を続けるなどして、普及に力を入れていく方針だ。

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