ヘビやハクビシンは出るが「クマなんて冗談かと」…全国初の緊急銃猟駆除、住民らも驚き

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 宮城県内でクマの出没が相次ぐ中、仙台市が15日、太白区 鈎取かぎとり の住宅街に出没したクマについて、市町村の判断で猟銃の使用を認める緊急銃猟を全国で初めて実施した。クマは駆除され、けが人はいなかった。餌を求めて住宅に近づくケースもあり、県や仙台市は、住民に警戒を呼びかけている。

クマが目撃された現場近くの住宅地。右奥の林付近にクマがいた(15日、仙台市太白区で)
クマが目撃された現場近くの住宅地。右奥の林付近にクマがいた(15日、仙台市太白区で)

 「クマがいるなんて、最初は冗談かと思った」。現場近くに住む女性(73)は15日、取材にそう話した。前日夜、自宅を訪れた市職員からクマが見つかり、発砲の可能性があると伝えられたという。「ヘビやハクビシンは出るが、クマは40年以上住んでいて初めて」と驚いた様子だった。

県内のクマの出没件数
県内のクマの出没件数

 緊急銃猟は市街地でクマの出没が相次ぐ現状を受け、今年9月の改正鳥獣保護法の施行に伴って導入された制度だ。日常生活への影響や緊急性、安全の確保など4条件を満たした場合、市町村長の指示で実施できる。

 仙台南署によると、クマ出没の情報が寄せられたのは14日午後4時頃。市は、現場が住宅街に近いことなどから、同日夜に緊急銃猟の実施を検討。夜明け後にクマが林の斜面の下にいたため、弾がそれても地面に当たることから、安全と判断して15日午前5時40分頃に緊急銃猟の実施を決めた。

 クマに対する発砲は午前5時57分で、1発で駆除された。同区鈎取の男性(80)は「朝6時くらいに発砲音がした。銃だとすぐに分かった」と、当時の状況を振り返った。

相次ぐ目撃 住宅地でも

 クマの目撃が相次いでいる。

 宮城県自然保護課によると、9月のクマの出没件数は196件と、過去5年間の月平均(91件)の2倍以上に上った。10月も収まらないままで、今年度の県内のクマ目撃は計944件(8日時点)と、すでに昨年度1年間の合計(800件)を超えた。

 住宅地での目撃も多く、倉庫のコメや民家の柿を狙ったケースも相次ぐ。10月8日には加美町下新田で、親子とみられるクマ3頭が畑の中に居座った。住宅地が近いため、町は緊急銃猟を一時検討したが、安全確保ができないため見送った。

 林野庁東北森林管理局によると、今秋はドングリが実るブナの大凶作が予測されている。クマが餌を求めて行動範囲を広げる恐れがあるため、県はクマ出没警報を7月29日に発令。当初は8月末までの予定だったが、10月末まで延長した。

 県自然保護課は、クマと遭遇しないよう、▽生ゴミを放置しない▽クマ鈴やラジオで人の存在を知らせる▽クマが活動する朝夕の行動に注意する――などの対策を呼びかけている。

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